第1回 2027年確定拠出年金改正 iDeCoが変わる! 拠出限度額の引き上げと加入年齢の延長

クローバー通信 No.252

老後資金について不安を抱える現役世代にとって、2027年1月に施行される確定拠出年金(DC)法の改正は、私たちの働き方やライフプランに合わせ、「もっと自由に、もっと長く」資産を育てるための抜本的な改正となります。

第1回では、今回の改正の全体像と、特に影響の大きい「拠出限度額」と「加入年齢」の変更について、解説します。

1 なぜ今、iDeCoのルールが変わるのか?

背景にあるのは、日本の「長寿化」「働き方の多様化」です。

かつては「60歳で定年退職、あとは年金暮らし」が一般的でしたが、今は65歳、70歳まで現役で働くことが珍しくありません。また、会社員が副業をしたり、フリーランスに転身したりと、一つの枠組みに収まらない働き方が増えています。

これまでのiDeCo(個人型確定拠出年金)は、公務員、サラリーマン、自営業者といった「属性」によって、掛金の上限額が決まっていました。今回の改正は、このような壁を取り払い、どんな立場の人でも「自分に合った準備」を最大化できるようにすることが目的です。

2 掛金の上限が引き上げられる!

最大の注目点は、毎月積み立てられる金額(拠出限度額)の見直しです。

iDeCoの最大の魅力は「掛金が全額、所得控除になること」 つまり、積立額が増えるほど、毎年支払う所得税や住民税が安くなるのです。

■ 自営業者・フリーランス(第1号被保険者)

これまで、国民年金基金と合算で月額6.8万円が上限でしたが、月額7.5万円(年間90万円)に引き上げられます。

♥ メリット

年間で8.4万円分、非課税枠が増えます。例えば上限まで拠出した場合、所得税率20%の人なら、年間で約2.5万円(住民税込み)が追加で節税できる計算です。

■ 会社員・公務員(第2号被保険者)

これまで会社員は、勤務先の年金制度の種類(企業型DCの有無など)によって「月1.2万円」「月2万円」など、非常に複雑に制限されていました。2027年からは、「他制度との合算枠」という考え方が導入され、企業年金の掛金が少ない人は、最大で月額6.2万円までiDeCoの枠を活用できるようになります。

⚠︎ 注意

会社員の限度額は「会社がいくら出しているか」によって変動します。
ここは第2回で詳しく解説します。

3 加入可能年齢のが「70歳未満」に延長!

現在iDeCoに加入できるのは、国民年金の被保険者である原則65歳未満の人ですが、これが70歳未満まで5年延長されます。

〈条件〉

① 60歳以上70歳未満のiDeCoで資産形成を継続しようとする人
② 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないこと

なぜ「5年の延長」が重要なのか?

「65歳から始めても遅いのでは?」と思うかもしれませんが、投資において「5年」という時間は非常に大きな意味を持ちます。

❖ 複利効果の最大化

60代で安定した収入がある場合、積立を継続することで、複利(利息が利息を生む仕組み)の効果を最大限に引き出せます。

❖ 出口を遅らせる

積立期間が延びるということは、それだけ資産を引き出す時期を遅らせる選択ができるということです。70歳まで運用を続ければ、受け取る際の資産総額が大きく変わってきます。

4 改正のメリット! 具体例で検証

【ケースA】
50歳のフリーランス(年収500万円)

これまで上限の月6.8万円まで積立、2027年から月7.5万円に増額した場合の積立総額

❖ 改正前:65歳までの15年間で合計1,224万円
❖ 改正後:70歳までの20年間で合計1,800万円

積立期間が5年延び、毎月の額も増えることで、老後資金が約570万円も上乗せされます(運用益を含まず)。さらに、期間中の節税額も大幅に増えます。

【ケースB】
60歳で定年後、再雇用で働く会社員

これまでは65歳でiDeCoの積立終了、改正後は70歳まで継続可能

❖ 65歳以降も働きながら月2万円ずつ積み立てれば、5年間で120万円の追加資金が作れます。

❖ 再雇用時は給与が下がることが多いため、iDeCoの所得控除による節税は「手取りを守る」ための貴重な手段になります。

5 確定拠出年金制度の特徴と注意点

確定拠出年金(DC)は、一言でいえば「自分の年金を、自分で作って、自分で育てる制度」です。

最大の特徴は、拠出した掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税という強力な節税メリットにあります。

特に2027年1月からは、iDeCoの拠出限度額の引き上げや加入可能年齢の70歳未満への延長など、現役世代がより「多く、長く」積み立てられるようルールが緩和されます。

しかし、活用にあたっては以下の3つの注意点を理解しておく必要があります。

⒈ 原則60歳まで引き出し不可

結婚や住宅購入、教育費など、使う予定のあるお金を回すのは禁物です。あくまで老後資金と割り切りましょう。

⒉ 自己責任の運用

運用の成果次第で将来もらえる額が変動します。元本割れのリスクがある商品も含まれるため、資産配分(アセットアロケーション)が重要です。

⒊ 手数料の負担

iDeCoの場合、口座管理手数料などのコストがかかります。少額すぎる積立では節税メリットよりも手数料の方が高くつく「手数料負け」のリスクがあるため、積立額とのバランスを考慮しましょう。

まとめ

2027年の改正は、「国が老後資金を自助努力で資産形成することを推奨し、その分税金は優遇する」という強いメッセージです。早く長く続けることが最大の活用法ですが、上限が上がったからといって、無理をして家計を圧迫しては本末転倒です。

また、資金が60歳までロックされ引き出せない、国民年金保険料を払っていない期間は掛金を拠出することはできないことなど注意点もあります。

次回は、多くの会社員が直面する「企業型DC(会社の年金)とiDeCoの併用」についてお話しします。

 

 

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