ブラック・エレファント

めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす現象のことを「ブラック・スワン」と呼ぶのは、すべての白鳥は白色と思われていたが、黒い白鳥が発見されたことにより、常識が大きく覆されたことにちなんでいる。

誰もが存在を認識しているが無視している事を「エレファント・イン・ザ・ルーム」という。部屋の中にからだの大きなゾウがいれば誰でも存在を認識しているはずだが、見て見ぬ振りをしている事を意味する。

新型コロナウイルスのパンデミックはこれら両方の要素が合わさり「ブラック・エレファント」と一部の人々が呼んでいる。新型コロナウイルスは2021年1月現在で世界中の感染者が1億人を超えた。経済の混乱どころか、生命の危機をいかにして乗り切るかを一人ひとりが真剣に取り組む段階にきていて、破壊的被害と言える。

ただ、新型コロナウイルスの発生自体は〝想定外のことではない〟。自然界の感染症ウイルスは常に変化していて、たまたま人間に感染し、〝ヒト〟から〝ヒト〟への感染が確認されるウイルスの発見はめずらしいことではない。世界中のビジネスマンや旅行者が、瞬時に遠くまで移動する現代において、SARS・新型インフルエンザ・MARS・エボラ出血熱の流行と抑え込みは経験済みなのだ。これらのアウトブレイクは新型コロナウイルスと比べれば規模が限定的で、おさえ込みに成功した。ただしわれわれは、嵐がすぎれば忘れてしまうのが常だ。

致死性が高く、感染力も強い、新しいウイルスが人間に感染し、人から人に感染拡大していく過程の初期段階で対応が遅れてしまうことになれば、パンデミックが起こることは〝わかっていた〟。WHOも政府も個人も、わかっていたが(完全にではないにしろ)無視していた。

現在ではまだ私達は新型コロナウイルスを克服するのに必要な力を持ち合わせていない。全力を尽くして危機を乗り越えなければならない。

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会社経営や事業を運営するなかでも「ブラック・エレファント」は存在する。首都直下型地震や得意先倒産などがそうだ。個人では生活習慣病や、がんにかかるなど、自身に当てはめれば思いつくはずだ。今すぐに対処する必要はないが、放っておくわけにはいかないことを。

 

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