第33回 新型コロナ禍におけるテレワーク環境を考える

情報セキュリティ連載
新型コロナ禍におけるテレワーク環境を考える

テレワーク

前回までは、人工知能の技術についてスポットを当てていましたが、今回から数回にわたり新型コロナの影響で最近増えているサイバー攻撃の現状と新しい労働形態として注目の集まるテレワークについてまとめさせていただきます。

まず、新聞報道でも連日のように企業へのサイバー攻撃の被害報道がされています。

一例として

『つながる工場 攻撃7倍-サイバーリスクIoT普及で高まる』

こちらは日経新聞2020年6月11日朝刊1面の記事です。

自動車メーカーのホンダの米国工場9工場が同月8日にサイバー攻撃を受け工場の稼動が停止に追い込まれ製造に影響が出る事態となっているという内容です。工場への攻撃を容易にさせているのは、サイバー攻撃が進化しているのに対し、工場のIoT機器の基本ソフトがサポート切れしたパソコンで稼働しており、比較的簡単にサイバー攻撃を受けてしまう傾向にあるようです。

新しい基本ソフトでは工場のプログラムが稼働しない等の理由でシステム移行が進まないのに、新型コロナの影響でインターネットを経由して工場を遠隔稼働せざる得ない状況で、サイバー攻撃の標的にされる傾向にあるとされています。

1 新型コロナの影響で増加するサイバー攻撃

進化するサイバー攻撃は工場だけではなくパソコン、スマートフォンへの攻撃も従来のウイルス型から人の心理をついた、いわゆる騙す攻撃が主流になっています。これらの攻撃をソーシャルエンジニアリングと呼びます。

この攻撃が危ない理由は従来のウイルス対策ソフトでは反応しにくいという点にあります。従来のウイルス対策ソフトのほとんどが定義ファイルと呼ばれるウイルスの形をリスト化したファイルを最新に保つことで、ウイルス感染や不正攻撃からパソコン等のIT機器を防御しています。

これに対し、ソーシャルエンジニアリングは巧みな文章で心理的に偽のサイトに誘導してそこに情報入力させることで正規のアカウントとパスワードを入手、攻撃者が堂々と正規サイトにログイン、中にある情報を抜き取り最悪の場合、パスワードを変更し正規ユーザーをログイン出来ないようにしてしまう事件まで発生しています。

新型コロナの影響でテレワークが増えたので、オンラインでも自宅からの社内ネットワークにログインするケースが増え仕事面、私生活面問わずインターネットの利用が主になったため、セキュリティがあまり高くない自宅を狙ったサイバー攻撃が増加、情報を抜かれる事件が急増しており、しっかりとしたセキュリティ対策が求められています。

2 テレワーク環境の構築は2025年以降に加速する労働人口減の対策になる

様々な業種で新型コロナウイルスの影響で労働環境を変更せざるを得なくなり、多くの方が苦労されていると思います。

本来であれば早く収束して、元の労働環境に戻ってほしいところですが、新型コロナの収束にはワクチンが必要でありそのワクチンも1~2年の期間を要するとされています。

しかしながら、そのワクチンが一般化する頃には、社会問題としての労働人口の減少が目の前に迫っています。さらに労働人口減少だけでなく、介護離職数も増加傾向にあり、40~50代の要職者が離職してしまうリスクも出てきています。

労働環境が出勤形態だと労働人口の減少等の問題は大きく影響しますが、労働環境をテレワークなどの形態に変更できれば、介護・育児をしながらの勤務形態や地方など遠隔地からの雇用ができるなど様々な利点が生まれます。

3 テレワークの構築について

では、テレワーク環境をどのようにすすめればいいのでしょうか。

既に導入している企業の事例から見えてくるのは環境面の構築とテレワークのルールをしっかり構築するということです。やはり、テレワークになると孤立しがちであったり、また上司の方はサボっていないか等の心配があると思います。

テレワークにおいては仕事の内容を時間管理型の形式ではなく、工程を決めその中での成果を測れるアウトプット型に変更することが求められます。言葉では難しい表現になっていますが、仕事のやり方を見直せばアウトプット型に変更することはさほど難しくはありません。

またテレワーク環境についてはVPNとよばれる環境を構築することが主流となっています。VPNとはVirtual Private Network(バーチャル プライベート ネットワーク)の略でインターネットの仮想専用回線と呼ばれるものです。

インターネット上に自宅と会社に安全な仮想の専用回線を繋ぐことで不正侵入や情報漏えいのリスクを遮断しながら社内と同じ環境で、自宅に仕事環境を構築することができるシステムです。

次回からテレワークを既に導入している企業の事例や実際に公開されている企業のテレワークの事例からどのような構築ができるのかを検証していきたいと思います。

《参考文献》2020年6月11日  日経新聞 朝刊1面

 

 

 

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