敷金償却と原状回復費用のちがい

賃貸物件に入居する際に支払う敷金ですが、退去する時に全額返金されることは少ないのではないでしょうか。賃貸物件を退去する時に敷金が返ってこないことや、原状回復費として清算金を支払ったことがある方がおられると思います。

今回は敷金償却と原状回復費用の違いについて説明します。

敷金償却とは、入居した物件から退去する際に、入居時に支払っていた敷金を償却することです。敷金償却の場合、賃貸物件の契約時に敷金を償却することや、償却する金額(根拠等)が契約書に記載されています。また、償却をする理由や定義なども契約書に記載されていることがあります。

大家さん

原状回復費用とは、賃借人が借りた当初の状態に戻すための費用を負担するものではありません。退去時において賃貸人と賃借人のどちらの負担で原状回復を行うのが妥当なのでしょうか。国土交通省が平成10年3月に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を取りまとめました。

これによると、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」と定義されています。つまり、経年劣化や通常消耗の範囲を超えたものが賃借人の負担すべき原状回復費用となります。

一方、経理処理をする場合でも、敷金償却と原状回復費では処理が異なります。

敷金償却の場合、契約書に償却する額(根拠等)が記載されているため、契約を交わした時点での収入になります。消費税区分は駐車場や事業用物件は課税。住居用物件や土地は非課税となります。

原状回復費用の場合、退去時に金額が確定するため、原状回復費用の請求をした時点での収入となります。消費税区分は事業用物件、住居用物件を問わず課税となります。このように敷金償却と原状回復費用は、全く別のものになるため、新しく賃貸物件を契約しようとしている方や新たな入居者と契約しようとしている方、すでに契約を交わしている方など、契約書の内容をもう一度確認してみてはいかがでしょうか。



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