同一労働同一賃金対応で必要となる賃金制度

1 求められる「賃金決定基準の明確化」

働き方改革関連法のひとつとして2020年4月に施行される(中小企業への適用は2021年4月から)パートタイム・有期雇用労働法において不合理な待遇差をなくすための規定の整備と、労働者に対する待遇に関する説明義務が課せられます。

いわゆる同一労働同一賃金対応として、正社員とパート・有期労働者等の賃金の差を明確化し、説明できるようにしなければなりません。諸手当の支給要件の明確化とともに、基本給の支給基準として賃金制度の構築または再構築が必須となるとみられています。参考となるよう一般的な賃金制度の種類を紹介いたします。

2 賃金制度の種類

◎年功給

年齢や勤続年数に連動して賃金が上がる仕組みです。かつて日本で多く採用されていましたが、人口構成の変動などからなじまなくなってきています。

◎職能給

従業員本人の保有する能力の成長によって賃金を上げる仕組みです。職能資格制度と連動した日本型能力主義として、1970年代から広く使われています。しかし、獲得した能力はなくならないという前提があるため、運用によっては年功給と同様になるなどの問題もあります。

◎成果給

仕事で得た成果によって賃金を決定する仕組みです。一見、成果で判断するのが一番納得のいく仕組みのようですが、成果の評価が難しい、成果につながらない仕事がおろそかになるなどの弊害もあります。

◎職務給

仕事における職務内容によって賃金を決定する仕組みです。契約時に職務記述書などに詳細な仕事内容を記載して限定しており、それ以外の仕事はしないという働き方になるため、一般に日本型雇用にはなじまないとされています。ただし、パート労働者への適用で注目されています。

3 まとめ

特徴として、年功給と職能給は人基準(労働力基準)の賃金です。従業員の年齢や能力で評価するためです。それとは別に、仕事基準で評価するのが、成果給や職務給です。仕事自体の成果や職務内容で賃金が変わるためです。日本人にあった職能給に仕事基準の考え方を組み込んだ新しいモデルが今後普及するのではないかと言われています。



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