「事業承継税制」について思うこと
先月号で小川湧三が事業承継税制について記事を書いていますが、私も事業承継税制ついて多少感じているところがありますので、今回の記事のテーマにしてみようと思います。
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元々事業承継税制は、事業承継に係る(相続税・贈与税という)コストを軽減して、事業承継が円滑に進むようにするためにできた制度です。
背景には事業承継されずに廃業されてしまうことで雇用が失われてしまうという危機感がありました。
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事業承継税制は納税を猶予する(一旦保留にしておく)という制度で、要件を満たさなくなった場合には税金をその時に納めなくてはいけないとする制度です。
確かに一旦は税金を納めなくてもよいのですが、後で納めなくてはいけない可能性があるわけです。
これは非常に使いにくい制度だと感じていました。
何故なら、税金を納めなくてもいいようにするために、会社が本来するべき意思決定を歪めてしまう危険があるからです。
ただ、制度の趣旨が雇用維持にあるので、(納税)猶予という制度もやむを得ないものと思っていました。
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新制度でも一定の場合には税金が免除されることになっています。
ただ、事業を第三者に売ったような場合には、株価が上がってしまうと免除が受けられないような仕組みになっています。
そうすると事業承継の方法として社外の第三者への承継(M&A)という選択肢が取りにくくなってしまいます。
私は、事業承継の方法としてM&Aという選択肢を取れるようにしておくことが必要だと考えていますので、やはり使いにくい制度だと言わざるをえないと感じています。
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ところが、今回の改正(新制度)では、制度趣旨である雇用維持の要件が実質的になくなったようです。
そうだとすれば、もはや納税を猶予するという制度にしておく必要はなく、その時に免除するという制度にするべきだろうと思うのです。
株式会社LR小川会計
代表取締役小川泰延
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