国際金融情勢の変化を見る

第339回 財産承継研究会

財産承継研究会・OFF研究会 共同開催 特別講演
国際金融情勢の変化を見る
~世界主要国での金融政策正常化に向けた新たな動き~

講師:

横浜日独協会
副会長 向井 稔 氏
(元USBグローバル・アセットマネジメント 代表取締役副社長、元日本投資顧問協会 副会長)

にお話を伺いました。

昨年は、英国EU離脱問題、米大統領選など想定外の結果に政治の波乱が続く1年でした。今年は米大統領トランプ氏の就任、オランダ総選挙、フランス大統領選、ドイツ連邦議会総選挙と続く中、市場は大きな波乱もなく、米国トランプ政権の今後の去就を除き、一定の安心感を示して、現在に至っています。

しかし、現在の好調な景気動向の中で、いずれ景気循環により減退期が訪れた場合、その対応策として米国中央銀行は、景気が失速し始めたら、すぐにでも利下げ等の金融緩和対応が実施できるように、金融の引き締め(金融政策の正常化)に転じた後は、利上げを積極的に行っていく姿勢にあります。

また、欧州中央銀行の正常化プロセスでは、まず量的緩和の縮小から始めており、未だ金融の引き締めの段階に至ってはいない点で、米国中央銀行の正常化ペースに少し遅れを取っています。物価の健全な安定を確認してから時間をかけて金利の正常化(利上げ)に踏み出すのでは、と予想されています。

これに対して日本銀行は、米欧の政策転換への観測が広がる中、米欧と一戦を画し、消費者物価の2%上昇という目標達成へ引き続き全力投球で異次元の質的量的金融緩和政策を続けています。なぜ2%達成の旗を降ろし、米欧の後を続いていかないのかというと、今日本が金融政策の転換を発表すれば、市場がマイナスに大きく反応し、景気回復、物価安定が未だ微妙な状態の中にあって、市場は失望から急激な円高・株安と反応し、日本経済を再び冷やしてしまう懸念が大きいからです。しかし、日本銀行に早期に求められることは、米欧の金融政策動向に歩調を合わせる形で、ゆるやかに金融緩和の縮小・解除に向けて柔軟に舵を切っていくことでしょう。

2017年という年は、トランプ新大統領が就任し、新政権の船出は与党共和党との不協和音などがあり、必ずしも順調とは言えませんが、一方で、米国を始め世界経済の足取りは順調で景気回復・労働市場の改善が進んでいます。こうした状況でこれから世界はどのようになっていくのか、注視していくことが必要でしょう。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2018年1月26日(金)予定 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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