今注目される「健康経営」

健康経営今年7月31日の読売新聞に“「健康経営」中小が宣言”との見出しで「健康経営」についての記事が掲載されていました。大企業が中心だった「健康経営」への取り組みが中小企業にも広がり3月には健康経営を宣言した中小企業が1万社を超えたというのです。

なぜ今「健康経営」が注目されるのでしょうか

その背景には労働力の減少があります。労働力の中核となる人口(15歳から64歳までの生産年齢人口)は、1995年のピーク時を境に減少傾向にあり、2020年代後半にはピーク時の約8割に減少、2050年代半ばには約6割に減少することが予想されています。生産年齢人口の減少に伴う従業員の高齢化や生活習慣病の増加、また過重労働や人間関係などが原因のメンタルヘルス不調者の増加など「ヒト」に係る問題が年々多くなってきています。

健康経営とは

健康経営1980年代に米国の経営心理学者のロバート・ ローゼン氏によって「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という“ヘルシーカンパニー”思想が 提唱されました。わが国ではこの概念をさらに進めて、企業経営と働く人の健康管理を両立させるという意図の下、「健康経営」(※1)いう言葉が生まれました。

つまり、企業が従業員の健康増進に取り組むことで、従業員の働く意欲が高まり、組織の活性化や生産性の向上につながるとして、健康管理を経営的な視点から考え戦略的に実践することをいいます。

従業員の健康増進の取り組みにかかる支出を「費用」として捉えるのではなく、「投資」として捉えるのです。

政府も「ストレスチェックの義務化」や、上場企業を対象とした「健康経営銘柄」の選定、「健康経営優良法人認定制度」(※2)の創設など政策として推し進めていますが、「健康経営」の認知度はまだまだ低いと言わざるを得ません。

中小企業にとっての健康経営

中小企業にとって、従業員一人ひとりが果たす役割や責任は相対的に大きく、一人が病気になったときに非常に大きなダメージを受けます。

そのうえ、新規採用も厳しい状況が続いています。企業を支える屋台骨が人であることに間違いはなく、人が心身ともに健康であれば、高いパフォーマンスを期待できます。「健康経営」の考え方を取り入れ、従業員が健康で、長く、安定的に働けるように従業員の健康管理に取り組んでいくことが、企業が成長していくうえで最重要となるのです。

また、「健康経営」の取り組みが成功するか否かは、大企業、中小企業を問わず経営者の強いメッセージが社内に浸透するかどうかに掛かっているといわれています。

従業員が少ない中小企業こそ、経営者のメッセージがダイレクトに伝わりやすく「健康経営」も浸透しやすいのではないでしょうか。

未来に続く元気な企業であるために、まずは社長から率先して「健康経営」に取り組んでみませんか。

※1 「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※2 健康経営優良法人認定制度とは、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度で、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。
2017年8月現在、「大規模法人部門」に235法人、「中小規模法人部門」に318法人が認定されています。

健康経営

 

 


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