金融資産の保護制度

金融資産クローバー通信 No.145

海外では、ギリシャ危機により2013年3月に地中海のキプロスで預金の引き出し制限や、預金への課税(10万ユーロ以上は9.9%、それ以下は6.75%)が行われました。

日本では金融機関の破綻は他人事でしょうか?

万が一の場合に、どのような保護制度があるのか見ていきましょう。

1 預貯金の場合

◆ 預金保険制度:預金保険機構

銀行・信用金庫・信用組合等が破綻した場合に預金を保護する制度

◆ 貯金保険制度:農水産業協同組合貯金保険機構

農協・農林中金・漁協等が破綻した場合に貯金を保護する制度
対象商品:

〇 決済性預貯金(当座預金・無利息普通預金など):全額保護
〇 一般預貯金(普通預金・定期預金・定期積金、金融債(保護預かり専用商品)など):1行あたり元本1,000万円と利息を保護

対象者:【名寄せ制度】

〇 同じ金融機関で支店が異なる複数の口座を持つ場合でも、同一名義人は1個人・1法人が1預金者となる。個人事業主の場合、事業用預金と事業用以外の預金も同一人の預金となる。

その他

※金融機関が合併した場合は、合併後1年間は「元本1,000万円×合併銀行数と利息」まで保護される。
※同じ金融機関に借入金がある場合は、預金と相殺できる。

資産対象にならない資産

外貨預金、譲渡性預金、無記名預金
日本国内に本店を持つ海外支店の預金
海外に本店を持つ日本国内支店の預金 など

2 有価証券(株式・債券・投資信託など)の場合

◆ 投資者保護制度:日本投資者保護基金

証券会社を通じて買った資産について、破綻した証券会社が分別管理義務の違反をしたことによって返還を受けられなかった金銭・有価証券の内、1人(1社)1,000万円までを補償する制度

対象商品:国内・海外で発行された株式・債券・投資信託・その他取引所における証拠金、上記取引に関する金銭

対象者:個人、法人(適格機関投資家・国・地方自治体などを除く)

対象にならない資産

対象にならない資産FX取引(外国為替証拠金取引)
くりっく365取引(取引所の通貨関連取引)
有価証券店頭デリバティブ取引
外国の取引所で取引される先物、オプション、CFD取引 など

3 生命保険の場合

◆ 保険契約者保護制度:生命保険契約者保護機構

「国内で事業を行う生命保険会社を通じて契約した保険」の補償対象契約に係る責任準備金の90%までを補償する制度
※保険契約上、年齢や健康状態によっては契約していた破綻会社と同様の条件で加入する事が困難な事もある為、保険契約の継続を図るよう、生命保険契約者保護機構が支援している。

特徴:保障 > 貯蓄

① 定期保険など保障性が高い保険では保険金額の減少が小さく、貯蓄性の高い保険(養老保険・終身保険・個人年金など)では減少幅が大きくなる。
② 予定利率が高い契約ほど、保険金額の減少幅が大きくなる。
③ 満期までの期間が長いほど減少幅が大きくなる。

分別管理義務

もともと株式・債券・投資信託は、証券会社が自社の資産とは別に「証券保管振替機構」や「信託銀行」で分別管理する義務があります。価格変動・信用リスクなどはありますが、原則資産は保護される仕組みとなっています。

万が一、分別管理ができていない場合でも保護基金で救済できるような仕組みになっています。

金融資産保護制度預金保険機構で保護される範囲を超える部分の預金の取扱い

2010年に日本振興銀行が破綻した際には、預金保険機構が金融整理管財人となり最終的にはイオン銀行が最終受け皿となりました。

保護の範囲を超えた預金に関しては39%がカットされて今年5月に弁済が終了し、終結しました。

まとめ

金融機関はつぶれない?

株式・債券・投資信託など投資性の商品に関しては、分別管理と日本投資者保護基金と二重の保護制度がありますが、自己責任のもと価格変動によって資産がマイナスになる可能性があります。

預貯金・保険に関しては、価格変動のない安全資産と認識されていますが、金融機関の破綻は直接関係してきます。特に2018年よりBIS規制(国際業務を行う銀行の自己資本比率に関する国際統一基準)により日本国債が安全資産ではなくリスク資産として評価されるようになると、日本国債を大量に保有する金融機関が債務超過になる可能性が指摘されています。

銀行だから預貯金だから安全ではなく、利用する金融機関の保護制度を把握した上で、預貯金なら1,000万円を超える部分や引き出し制限を念頭に複数の金融機関に分散する、証券などは価格変動リスクを低減させる投資方法を利用するなど対策をしていきましょう。

 

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