企業にとって運転資金の確保はとても重要です。企業を経営していると、モノを仕入れたり、社員に給料を払ったり、税金や社会保険料を払ったりと、何かとお金がいるものです。赤字が続けば運転資金は足りなくなってきますが、黒字の企業でも資金繰りを間違えれば運転資金がなくなり倒産することもあります。
今回は、特に在庫と運転資金の増減について考えてみたいと思います。
運転資金について、まず売上債権や仕入債務の面から見てみましょう。売上が増え、売掛金が増加することは運転資金のマイナス要因です。その売上に要した仕入代金や人件費を売上代金回収より先に支払うケースが多いためです。この場合、増加運転資金の借入を金融機関に申込みするのが一般的で、利益が確保できている企業なら金融機関も前向きに融資してくれます。
次に在庫と運転資金の関係を考えてみましょう。在庫を多く抱えることは、その仕入れ代金や製造コストが回収できず、保管費用もかかるため運転資金のマイナス要因で、特に不良在庫を抱える場合は将来の見込みの損失と合わせてダブルパンチとなります。しかし、在庫が少ないと販売機会を失うこともありますので、機会損失を少なくした中での在庫の圧縮が重要です。きめ細かな販売予測に基づく仕入や生産、不良在庫品見切りのタイミングを見極めることが大切です。
在庫の状況を整理してみましょう。在庫を分析すると、
①お客さまに納入する運転在庫があります。
②売れ筋商品で運転在庫をバックアップする在庫があります。
この二つは常時売れて販売速度が速い安全な在庫です。
③安全在庫をオーバーしているが、まだ通常の価格で販売可能な過剰在庫と
④通常の価格では販売できない不良在庫が考えられます。
値引きをして早く販売しなければなりません。
⑤長期滞留している在庫・陳腐化してしまい半値以下にするなど相当の値引きをしないと販売できない在庫
⑥廃棄処分をするしかない劣化在庫に分類できます。
決算月には必ず在庫を確認します。個数・単価、総額はもちろんですが、その内容まで確認し早めの対応が必要です。遅くなればなるほど、資金繰り(運転資金の増加)は悪化し利益も悪化します。在庫の確認はその金額より在庫の状況の確認が目的と言っても過言ではありません。棚卸は税務申告のためだけでなく経営改善のためでもあります。
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