二ヶ領用水とグランドデザイン
ＮＨＫ『ブラタモリ』が好きでよく見ます。タモリさんがブラブラ歩きながら町の歴史や文化などを再発見する番組です。
わがまち川崎をこの番組が紹介するとしたら、是非注目してほしいのが「二ヶ領用水」です。約400年前に徳川家康の命によってつくられたという歴史性、多摩川と多摩丘陵の間に形成された多摩川低地にあり江戸に近いという地理性、どちらも番組で掘り下げるのにふさわしい内容です。
子どもと二ヶ領用水沿いを散歩すると新しい発見が沢山あります。梨畑では春になると白い可憐な花が咲き、夏から秋にかけて実が大きくなっていきます。新しくできた喫茶店を発見することがあります。用水路が埋め立てられて公園になっているところがあります。（多摩川の砂利を運んだトロッコ列車の痕跡はまだ見つけていません）
家康に用水路の開削と新田開発を進言し15年かけて工事を指揮したのは、小泉次大夫吉次という人でした。武蔵国橘郡小杉村（現・川崎市中原区）に居を構え、多摩川の治水奉行だった人です。
「グランドデザイン（全体構想）」という言葉があります。長期にわたって遂行される大規模な計画のことを言います。家康や次大夫の頭の中にどこまでの計画があったのか大変興味があります。暴れ川と呼ばれた多摩川の治水、新田開発によるコメの収穫量増加などが出発点だったのでしょうが、400年後、今の川崎市の発展の礎になることまで考えていたかもしれない、と想像は膨らみます。私たちは彼らのグランドデザインと、実際に工事に携わった地元住民の血と汗の滲むような努力から、大きな恩恵を受けていることは間違いありません。
現代の私たちの暮らしでも「デザイン」の果たす役割は大きい。家庭や職場のような小さな環境でも、部屋の間取り、机の配置、動線の確保、チーム編成、役割分担などによって、過ごしやすくなったり、働きやすくなったりします。二ヶ領用水ほどの大規模なデザインではなくとも、私たちの日常生活に小さなデザインの工夫を積み重ねれば、大きな成果を生んで生活がより豊かになるはずです。
ＪＲ南武線宿河原駅から徒歩3分で行ける二ヶ領用水宿河原線は、四季を通じて豊かな自然を楽しむことができます。お近くにお立ち寄りの際には歴史と文化に思いを馳せながらブラブラ散歩をお楽しみください。
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