同一労働同一賃金の動き

日本では、パートタイム労働者の賃金水準は、フルタイム労働者の水準の6割弱となります。この数字は、欧州の各国でみると概ね8割程度であり、日本では雇用形態による賃金の格差が大きい、ということがわかります。

こういった格差を解消し、欧州諸国に遜色のない水準にしていくよう法改正に向けた議論が活発化しています。安倍政権が「ニッポン一億総活躍プラン」でうたう働き方改革の一環として、同一労働同一賃金の制度化を進めているためです。

近ければ、年内にも関連法案が可決され施行へと向かっていくわけですが、この同一労働同一賃金とは、どういったものなのでしょうか?

同一労働同一賃金とは

関連の会議の資料から、一言で同一労働同一賃金を説明する文章を抜き出すと、「職務内容が同一または同等の労働者に対し同一の賃金を支払うべきという考え方」となります。

現状、正社員と同等の仕事をしていても、低い水準でしか賃金を受け取れないパートタイム労働者等非正規社員が、同じ賃金を受け取れるようにする、という考え方です。

したがって今後は、正社員・非正規社員間の処遇について、均等・均衡待遇が求められるようになっていきます。

均等待遇とは、職務内容等が同一であれば同一の処遇をするということです。

均衡待遇とは、職務内容等が違う場合であっても、その差に応じた処遇とするべきということです。例えば、業務内容が同じで労働時間だけに差がある場合、労働時間8時間の正社員と6時間のパートタイム労働者の賃金の比は、時間に応じて8対6程度とするべきということになります。これらは、福利厚生や教育訓練など、賃金以外の処遇についても同様となっています。

この考え方は、現行法上にもあるものなのですが、今後の法改正でその義務が明確にされ、判断基準も厳しくなっていく見通しです。

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先月、厚生労働省HP「同一労働同一賃金特集ページ」にて個別のケースなどに触れたガイドライン案が発表されています。

同一労働同一賃金の議論は、ますます広がりを見せています。厳密に適用するならば、正社員の賃金制度が、欧米型の職務給に変わって行くのでは、などとも言われています。

今後も、動きがありましたらお伝えしていきます。

 


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