「金投資」

クローバー通信 No.133

金への投資が拡大しています。背景には、世界経済に不透明感が強まる中、金貨など小口投資でも短期で売却せず、長期保有しようとする投資家が増えている事、現物を購入する以外にも、金に投資するETF(上場投資信託)などの選択肢が増えた事があげられます。今回は、個人でできる金投資についてみていきましょう。

1 金市場と金価格

『金』は、「実物資産」でありながら価格が変動する商品で、世界に共通する価値観を持つ国際商品として、活発に取引が行われています。
世界の四大市場〔香港・チューリッヒ・ロンドン・ニューヨーク〕を中心に、その他の市場も加え世界で24時間取引されています。
国内金価格は、当日午前9時半頃の香港・シドニー市場価格を参考に米ドル建て基準価格が決定、円建てに換算されます。

2 金投資のメリットとデメリット

投資♥ メリット

◎ 実物資産で信用リスクがない
◎ どこでも取引できる ※ 世界で24時間取引できる
◎ 希少性がある    ※ 2012年時点で全世界合計51,000トン
◎ 株式や債券などの金融商品と異なった値動きをするので、資産の分散が図れる

投資♠ デメリット

△ 金利がつかない

その他の金融商品とは異なり、金を保有しても金利はつきません。

△ 価格変動リスクがある

市場が確立し取引量も多い為、需給関係や米ドル・NY株式・原油・金利などの要因により価格は変動します。

△ 為替変動リスクがある

金の国際価格は米ドル建てで[1トロイオンス(31.1035g)何ドル]と値段が決定します。それに加えて日本の国内価格は、為替(ドル円相場)によって変動します。
⇒円高になれば国内価格は安くなり、円安になれば値上がりする要因となるのです。

3 金を購入するには

貴金属店、大手鉱山会社、商社などで購入できます。
直営ショップの店頭・電話・インターネットなど様々な方法がありますが、信頼できる所を選ぶ事が大切です。
(財)日本金地金流通協会のHPで調べる事ができます。 http://www.jgma.or.jp/

投資1 金地金を購入

いわゆる金の延べ棒など
重量(1g~)×当日の税込金価格+手数料(バーチャージ)で購入できます。

2 地金型金貨を購入

金貨の場合10分の1オンス(≒3.11g)から購入可能。
加工代金が加算されるので、割高になります。

◆ 注意:1.2の金地金や金貨などを自宅で保管する場合は、盗難のリスクがあります。貸金庫の利用などを検討しましょう。

3 純金積立をする

指定した銀行口座から毎月の購入金額(3,000円位~)を引き落とし、その金額を営業日数で日割りにして毎日毎日一定の金額で買えるだけの金を自動的に買い付ける仕組みです。金価格が安い時は多く、高い時は少なく購入するので、価格の変動にあまり左右されません。〔ドルコスト平均法〕

◇ 年会費や購入手数料がかかります。
◇ 購入や保管の手間はかかりません。
◇ 現物での受取り・売却・ジュエリーとの等価交換など引き出し方法が選べます。

4 金ETFとは…?

金ETFとは、金の価格に連動して基準価額が動く上場投資信託で、国内の証券取引所に5本上場しています。1口4,000円程度から購入できる商品もあり、株式と同じ様に証券会社で取引できます。
「短期的に金相場に投資したい」「資産のリスク分散を考えて金を組み入れたい」などの場合、活用するとよいでしょう。

[ 特徴 ]

⃝ 株式のように手軽に売買でき、取引コストが安い。
⃝ 特定口座で株式との損益通産が可能。
⃝ 金を保管する必要がない。
⃝ NISA(少額投資非課税制度)の対象となる。

[ 注意 ]

金ETFには2種類あります。
⃝ 「金を保有し資産の裏付けがあるETF」
⃝ 「金価格に連動する債券に投資するETF」
大半のETFは金現物と交換できませんが、一部のETFは、1kg以上(約500万円)で交換が可能です。信託報酬が残高に対し年0.4%程度~かかります。

学び5 インフレ対策としての金

国や会社などの発行者が、その信用を基に「株式」「債券」を発行するのに対し、『金』は「実物資産」で発行者がいない為、「信用リスク」がありません。従って「信用」がなくなり価格が暴落したり、価値がゼロになってしまう事はありません。

金価格は、信用リスクのない、安全な通貨として、株式や債券などと逆の値動きをするケースが多く、同時に保有する事で資産分散となり、リスクを抑える有効な手段となるのです。

学びまとめ

『金』取引には、投機的な短期売買による利益追求と、「有事の金」と言われるような安全資産としての側面があります。自分の目的をどちらに置くかにより、取引の方法は変わってきます。最初に目的をはっきりさせて取り組みましょう。

安全資産の一部として考えるならば、日々の価格変動に一喜一憂するのではなく、少しずつでもコツコツと積み立てておく事が大切です。

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