120年ぶりの民法一部改正が、不動産賃貸にどう影響するか!

第321回 財産承継研究会

テーマ:120年ぶりの民法一部改正が、不動産賃貸にどう影響するか!
講師:清水・安達法律事務所 弁護士 安達 信 氏

 

明治 29 年に現民法が施行されてから120年。120年前と今とでは、社会情勢や人々の生活スタイルの変化と共に契約のあり方についても大きく変化しています。こうした社会の流れに適応させるため、大幅な改正が行われることになりました。

今回の財産承継研究会では賃貸借・使用貸借に関する主な改正を解説していただきました。

〇敷金規定の整備

現行の民法にも敷金の規定はありますが、昔からの風習や当事者間の力関係等によってどう解釈するかが左右され、今では敷金返還のトラブルが多く発生しています。

今回の改正で、「敷金は賃借人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人から賃貸人に交付する金銭をいう」と定義され、契約終了後、家屋明渡しがなされた時点で返還義務が発生すると明文化されます。

しかし、実際は明渡し後、敷金の精算までにある程度の期間を要し、すぐに返還することが難しい場合もあるため、契約書にあらかじめ「明渡し後〇カ月以内に敷金を返還する」など期間を明記し、トラブルを未然に防ぐことが重要だと思われます。

〇賃貸借契約終了後の原状回復義務

原状回復義務に関しても「賃借人は、通常損耗、経年変化以外のその責めに帰すべき損傷について現状に復する義務を負う」と具体的な内容が明記されることになりました。

ただし、これは任意規定のため通常損耗も特約により一定の限度で賃借人に負わせることも可能です。契約書に通常損耗の範囲や金額が予測できるよう工事目安単価などを明記し、賃借人に説明し承諾を得た事実を残しておくことが重要になります。

全体の流れが賃借人に有利な傾向にあることに合わせ、今回の民法改正によって賃貸人の義務が増え、さまざまな対応が必要になると思われます。

賃借人と良い関係を築き、トラブルのない不動産経営をするために今後は、「契約書に何を記載するか」が大事になってきます。予定では平成 31 年には施行されることになっており、施行までにはまだ時間がありますので、今までの契約書を見直してみてはいかがでしょうか。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2016年3月25日(金)予定 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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