住宅ローン その2 借り換えと繰上返済
【 はじめに・・・ 】
現在は歴史的な低金利ですが、いつまでも続くとは考えられません。現在変動金利や固定金利特約型の期間が短い場合は、住宅ローンの借り換えを検討するよい機会と言えるでしょう。
また、収入が減りローンの返済が負担となっている場合、借り換えや繰上返済を利用し月々の返済額を見直してはいかがでしょうか。
【 借り換え 】
新たな住宅ローンを借り入れした資金で、
今までの住宅ローンを一括返済する事
◆見直しの目安:
① 残高1,000万円以上
② 期間10年間以上
③ 借り換えの金利差が1.0%以上ある
〔 メリット 〕:
金利上昇時: 変動→固定 ⇒ 金利上昇リスクを抑える
金利下降時: 固定→変動 ⇒ 返済額を軽減できる
〔 デメリット 〕:
新規ローン契約のため、金融機関に対する事務手数料、担保を設定する登記費用、司法書士に対する手数料が必要となる。金額は約20万円~60万円程度と金融機関により様々。また手続きに1~2ヶ月かかる事も。
【 借り換えの効果 】
借入残高 2,000万円 残り返済期間20年住宅ローンの場合
【当初】 :3年固定1.0%、4年目~3.0%、7年目~4.0%
【借り換え後】:10年固定2.0%、11年目~4.0%
【当初】
毎月返済額(1.0%): 91,979円
毎月返済額(3.0%):109,000円
毎月返済額(4.0%):117,230円
返済総額 :約2,733万円
利息総額 :約 733万円
↓
【借り換え後】
毎月返済額(2.0%):101,177円
毎月返済額(4.0%):112,327円
返済総額 : 約2,575万円
利息総額 : 約 575万円
毎月返済額は増えても利息軽減額は諸費用込で100万円以上に
【 借り換えの注意点 】
〖借入金の制度上で借り換えができない場合〗
・ 公的ローンから公的ローンへの借り換え。
・ 同じ金融機関内で別の住宅ローンへの借り換え。
〖個人の信用力の問題で、借り換えができない場合〗
< 借り手の信用力が重視される >
・ 過去1年間の支払に延滞がある場合。
・ 転職したばかり・リストラで減収・勤続年数が短いなど、新たに借りるローンの収入基準を満たさない場合。
【 繰上返済 】
返済途中で毎月の返済とは別に元本部分を返済する事
〇「期間短縮型」:
毎月返済額を変えずに、繰上返済した元本に相当する期間だけ返済期間が短縮される。
〇「返済額軽減型」:
返済期間を変えずに、毎月返済額を軽減。一部繰上返済した後の残高で新たにローンを組み計算をする。
〔 メリット 〕:
手続きが簡単、手数料が安い。
〔 デメリット 〕:
返済時期や金額によってはあまり効果が得られず、資金を返済にまわさず手元資金としたほうが良い場合もある。
◆ 同条件なら期間短縮型のほうが利息軽減効果が高い。
◆ 金利上昇リスク等に対応できるよう余裕を持った繰上返済計画が必要です。
【 繰上返済の注意点 】
◆ 住宅ローン控除
繰上返済により返済期間・残高が条件に満たない場合は、住宅ローン控除が受けられなくなります。
◆ 時間短縮型で繰上返済をした後の借り換え
借り換えは元のローンの残存期間を超えて借入できません。繰上返済をして返済期間を短縮する事で、借り換え時の年収条件が厳しくなったり、毎月返済額が多くなる事があります。
【 まとめ 】
住宅ローンの見直しをするには、目先の金利や返済額だけで判断するのではなく、現状に加えて、将来の必要額を試算して把握する事が大切です。その他、入院や失業リスクに備え収入が減った時の生活費も半年分位は確保しておきたいものです。
借り換えや繰上返済は、ローン残高・返済期間・金利・金融機関など条件により効果は変わってきます。まず金融機関のサイトなどを上手に利用し、我が家の預貯金バランスにあった返済のシミュレーションをしてみましょう。
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