親から子へ、子から孫へ 贈与のしくみ

【 はじめに・・・ 】

ここ数年の厳しい経済状況の中、実家に、経済的援助や共働きのために子どもの世話をお願いする家庭が増えてくるのではないでしょうか?

親が、子どもや孫を思い援助したことでも、贈与税の課税対象とみなされた場合には、援助された側が贈与税を納付しなければなりません。

今回は、経済的援助を受ける場合に知っておいた方がよい、贈与と贈与税についてお話していきます。

【 贈与とは・・・? 】

子・孫・親族の他、第三者にも財産を渡す事ができる

贈与とは:

一方が自己の財産を無償で相手に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾する事によって成立する契約 

簡単に言うと、「財産をタダであげる、タダでもらうという行為に対してお互いの認識が一致している」ことですね。

その他の主な種類

①「毎年10万円ずつ10年間贈与する」など定期給付を目的とする定期贈与

②「時価1億円の土地を贈与するにつき借入金の一部5000万円を負担させる」など贈与する相手側に一定の負担を負わせる負担付贈与

③「私が死んだらこの土地をあげる」など贈与する人の死亡を原因として契約の効力を生じさせる死因贈与

【 贈与税の課税対象になるのはどんな時?】

<対象外>

□ 孫の生活費を援助をする
□ 孫の為の教育費(学費や塾・習い事代)を援助する

<対象>

□ 親が子どもへ時価を大幅に下回る金額で土地をゆずる
□ 親の自宅や株式の名義をタダで子どもに変更したとき
□ 子どもが親からの借入金を免除してもらう
□ 親が子どものローンの返済を肩代わりする
□ 夫が保険料を負担した満期保険金を妻が受け取る
□ 夫婦共有のマイホームの登記割合が実際の資金負担割合と異なる場合

など

【 贈与税の計算 [暦年贈与] 】

毎年110万円までは非課税(基礎控除)

税金を負担するのは、贈与を受けた人です。その年に受けたすべての人からの贈与合計額を基に、計算します。

贈与税の税率は相続税の税率より高くなっています。しかし、長年にわたって少しずつ贈与する事により、基礎控除や低い税率を活用でき、相続税対策にもつながります。

例① 500万円を一度に贈与する場合
500万円-110万円(基礎控除)=390万円
390万円×20%(税率)-25万円(控除額)=53万円(税額)

例② 毎年100万円を5年間 贈与する場合
100万円>110万円(基礎控除)=0円
基礎控除内により非課税

【 贈与の際の注意点 】

①証拠が必要:

あとで税務トラブルにならない為に、贈与証書を作成する、振込の記録を残す、金額が110万円以下でも申告するなど証拠をきちんと残しましょう。

②合意が必要:

贈与する側と贈与される側の合意が必要です。

③管理は自分で:

子どもや孫名義の通帳・印鑑を親が保管してた場合は贈与とみなされない可能性があります。

④分割とみなされないように:

最初に1000万円を贈与する合意をしてそれを10年間分割で渡した場合、一度に1000万円贈与したとして課税される可能性があります。(定期贈与)

【 まとめ 】

贈与になる場合・ならない場合、誤解していたケースもあったのではないでしょうか?

「祖父母がすぐおもちゃを買い与えたり、必要以上にお小遣いをあげて困る」など子育てママ達の中で話題になる事があります。かわいい孫へのプレゼントも、過度になると金銭教育の面から見てマイナスの点もあります。

援助の方法は色々です。「とき」と「もの」を選ぶことが喜ばれるための秘訣かもしれませんね。ただし、留学費用(学費・生活費)に多額のお小遣いを上乗せしたような場合は贈与とみなされる可能性があり注意が必要です。

贈与の非課税枠は、法定相続人ではない孫や他人でも利用できます。

上手に利用できるといいですね。

次回は相続時精算課税制度についてお話していきます。

 


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