ほけんの見直し その11 必要保障額と保険の見直し
【はじめに・・・ 】
ほけんの見直しを行うには、現状を把握したうえで、保障内容を見直すことが大切です。「ほけんの見直し」の総まとめとして、FP太郎家の必要保障額をみていきます。
*妻の寿命86歳(女性の平均寿命)として計算します。
*各項目の計算方法はNo.65&66に掲載しています。
【FP太郎家のライフプラン】
昨年春「家計の見直し」で登場
夫 : 太郎 40歳 会社員
妻 : 花子 38歳 パート勤務
長男: イチロー 12歳 今年中学へ入学
長女: さくら 10歳 春から小学5年生
〔基本情報〕
生活費は月25万。パートは扶養控除の範囲内。
10年前にローンで自宅購入(借入残高2,000万円)
〔子どもの教育プラン〕
イチロー:公立中学へ。高校・大学は私立を検討
さくら :中学から大学まで一貫教育を希望
〔万が一の場合〕
持ち家の為住居の心配はなし。
両親からの援助は考えていない。
現在のパートから、正社員として働きたい。
教育は子どもの希望をかなえたい。
〔現在の死亡保険加入状況〕
定期付終身保険 3000万円
勤務先のグループ保険 1000万円
【太郎さんに万が一の場合・・・その後の支出は?】
① 花子さんの生涯生活費
月額25万×0.5×12ヶ月×48年(86-38歳)= 7200万円
② 子どもの生活費 *さくらが就職するまで
月額25万×0.2×12ヶ月×12年(22-10歳)= 720万円
③ 子どもの教育費 *23年4月から卒業まで
イチロー 私立高・私立理系大 進学 955万円
さくら 私立中・私立高・私立文系大 1110万円
④ 子どもの援助資金
結婚式や留学費用など 100万円×2人= 200万円
⑤ 住居費 団信加入によりローン完済。
固定資産税・管理維持費用として年額30万円準備
年額30万円×48年(86-38歳)= 1440万円
⑥ 死亡整理金 葬式代として 200万円
⑦ 不時の支出 病気・災害などに備えて 300万円
◆死亡後の予定支出〔 ①~➆ 〕合計=1 億2125万円
【その後の収入は?】
⑴ 遺族年金
4416万円
① 遺族基礎年金:
イチローが18歳になるまで 年額124万7900円×〔 6 〕年=約749万円
さくらが18歳になるまで 年額102万0000円×〔 2 〕年= 204万円
② 遺族厚生年金:
年額〔48万6426〕円×48年(86-38歳)= 約2335万円
*H5年4月~23年3月まで加入、標準報酬月額30万円、標準報酬額40万円
③ 中高齢寡婦加算
遺族基礎年金満了後の46歳~65歳になるまで受給
59万4200円 × 19年(65-46歳) = 約1128万円
⑵ 花子さんの老齢基礎年金
妻の基本となる年金。65歳から受給 年額72万9100円×21年(86-65歳) = 約1531万円
⑶ 花子さんの収入
*55歳まで働くとする
月額10万円×12ヵ月×17年(55-38歳) = 2040万円
⑷ 一時的な収入
学資保険の満期金 イチロー・さくら 各150万円 = 300万円
⑸ 現在の貯蓄総額
400万円
⑹ 死亡退職金
300万円
◆死亡後の予定収入〔 ⑴~⑹ 〕合計 = 8987 万円
【 FP太郎家の『必要保障額』と『保険の見直し』 】
〔死亡後の予定支出〕-〔死亡後の予定収入〕=〔必要保障額〕
1 億 2125万 - 8987万 = 3138万円
〔保険加入済みの死亡保障〕-〔必要保障額〕=〔必要保障額の過不足〕
4000万 - 3138万 = 862万円
FP太郎さんの必要保障額は約3200万円となりました。
4000万円の死亡保険に加入しているので、実際には862万円分保障が多い事になります。適正の範囲内ですが、これから教育費がかさみ保険料の負担が重くなるので、時機をみて以下のように見直しを検討するとよいでしょう。
「保険の見直し」ポイント
保険金額→①定期保険の更新時に保障額を減額
②グループ保険の解約
保険料 →①特約など保障内容の見直し
②保障内容は変えずに他社と保険料を比較
【まとめ】
保険の見直しを行う際は、まずは加入している全ての保険契約の中で、保障が重なっていないか・必要保障額に過不足はないか・保険料は適正かを、検討しましょう。実際の見直しには、各家庭の家計やライフプランによって異なります。
自営業者は遺族年金が少ないので保障は多めに、共働き家庭は妻自身の死亡保障も確保する、などの対応も必要です。
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