相続税・贈与税の納税猶予制度の創設とこれからの事業承継のあり方

第245回 財産承継研究会

相続税・贈与税の納税猶予制度の創設とこれからの事業承継のあり方

中小企業白書によると、中小企業の廃業数が開業数を上回り、それにより雇用が年間30万人も減少しています。このような社会情勢から、中小企業の経営を代々引き継ぎやすくすることを目的に経営承継円滑化法が平成20年10月より施行され、雇用の確保、地域経済の活性化が期待されています。

そこで、経営承継に支障が生じることを防止するため、平成21年税制改正にて相続税・贈与税の課税における納税猶予制度が創設されました。

相続税の納税猶予制度

経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の経営承継相続人が相続により、同社議決権株式を取得した場合には、経営承継相続人が納付すべき相続税額のうち、議決権株式(発行済議決権株式数の3分の2に達するまで)に係る課税価格の80%に対応する税額が、経営承継相続人の死亡等の日まで猶予されます。

猶予された相続税額は次の場合に免除となります。

①経営承継相続人が同株式を死亡の時まで継続保有
②その会社に破産等決定があった場合
③次の後継者へ同株式を贈与した場合に贈与税の納税猶予制度の適用を受けるとき

なお、この特例は平成20年10月1日以後に開始した相続等から適用されます。

納税猶予の条件として

①認定承継会社要件(資本金一億円以下の非上場中小企業等)
②先代経営者要件
③後継者要件
④事業継続要件(代表者で5年間、雇用の8割維持)
⑤株式保有要件(後継者の相続開始時まで保有)

が挙げられます。事業後継者は親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)であればよく、法定相続人の範囲内に限定されず、親族内で自由に選択できることから、非常に承継がしやすくなります。

今後は承継プランニングをどのように、いかに早く行なうかが重要になってきます。

贈与税の納税猶予制度

後継者が、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社を経営していた親族から、贈与により保有株式等の全部を取得した場合は、同株式のうち、発行済議決権株式数の3分の2に達するまでの株式贈与に係る贈与税全額の納税が猶予されます。

贈与者の死亡時には、継続保有する同株式を相続により取得したものとみなし、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額を計算しますが、その際に、経済産業大臣の確認を受けた場合は相続税の納税猶予制度が適用されます。

以上のことから、相続した猶予適用株式は原則、後継相続人が死亡するまで保有しなければなりませんが、リレーのようにバトンタッチして、3代目経営者に一括贈与した時点で2代目経営者の相続税猶予額が免除となります。

このように世代間の承継リレーを上手に行なっていくことにより、事業承継時の障害のひとつである相続税負担の軽減を図ることができます。

 

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