中小企業は身支度・戸締りをしてジッと身を潜めていよう

No116_13171863今月のこの欄の原稿を書いていると次々と状況が変わって、何度も原稿を書き直している。状況の変化の速さに戸惑っているのはわたくしばかりではあるまい。

世界大恐慌の再来か

9月15日アメリカの有力投資銀行(日本の証券会社に相当)であるリーマン・ブラザーズが破綻し、証券会社やアメリカ最大の保険会社の経営危機が表面化し、リーマン・ブラザーズ以外の証券会社も銀行持株会社や、銀行に吸収合併されるなど長い歴史の幕を閉じ、アメリカのトップ5の証券会社は全滅してしまった。

証券会社に限らず銀行も相次いで破綻しており、証券、銀行両部門が破綻の危機に瀕したのは未だかってないことである。ヨーロッパでも、各国で国有化された銀行がでており、国民に対する不安を解消するため国民の預金保護を全額保証を打ち出した。

アメリカが金融安定化法を成立させた、まさにその瞬間を待っていたかのようにニューヨークダウは更に下がり始め、10月7日にはNYSEのダウ株価指数は1万ドルを割り込み、日経平均も1万円を割り込んだ。

中小企業は戸締りをし、身支度をしてジッと嵐が通り過ぎるのを待とう

さらに追い討ちをかけるように10月10日には大和生命保険の破綻が発表されると、日経平均は8276円までさげ、下落率も戦後3番目と言う非常事態が生じ、金融資産は9日間で21兆円も消えた。

地銀も業績の下方修正が39行(うち赤字転落12行)と続出している。中小企業への貸し渋りや貸し剥がしも現実味を帯びるようになってきた。
1929年の大恐慌は底を打つまでに数年を要したように、我々も身構えなければならない。

我々はどう身構え対処したらよいのであろうか。嵐が通り過ぎるまではジタバタせずにいつでも避難できるように身支度・戸締りをし、嵐が通り過ぎるのを唯ひたすら待とう。

政府の中小企業対策に望むこと

発足間もない麻生政権も解散・政局含みの中で政局よりも経済・景気対策と、危機発生前に立案した補正予算を最優先に取り上げ、さらに追加的な施策の立案を指示したとの事である。中小企業を猛烈な貸し渋りや貸し剥がしが襲うことのないように万全の対策を望む。

平成10年の特別保証制度は金融機関プロパーの借入の肩代わりに利用され、中小企業に塗炭の苦しみを残した。「税金を使っているのだから」という理由で5年の期間に返済するスキームは業績悪化に苦しむ中小企業にとって、やわらかな喉に棒を差し込むような苦しみだった。

中小企業の求めているのは、業績悪化にも耐えられる緩やかなリスケジュールやリファイナンスに対する支援である。政府の中小企業に対する施策も前回の轍をふまず中小企業の特性をふまえた温もりのある施策を願うものである。

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LRパートナーズ代表社員 小川 湧三

 


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