事業承継に会社法を活用しよう

No112_18411579先月号でお話ししたように、事業承継の一つの課題は、会社の支配権、すなわち株式を後継者にきちんと承継してもらうことが必要です。株式の移転の目的は会社の支配権の確保ですから、当然後継者やその配偶者といった後継者グループに集中して移転するのが大原則になります。

そのためには、相続の時に会社の株式が遺産分割の対象にならないように、遺言書を作成して確実に株式を後継者が承継できるようにしたり、生前に後継者に株式を贈与等によって移転する等の手だてを取っておくことが必要です。今後は信託の活用も進んでくると思います。

ただ、中小企業の株式の評価額は高額になることが多く、後継者に集中して移転した場合、相続税の負担が大きく、また他の相続人に相続にしてもらう代替の資産の手当も困難な場合が多いのが実情です。

生前贈与によって移転するにしても、贈与税の負担が大きい場合は、考えていたスピードで後継者に移転していくことは難しいところです。

以前は、相続税対策ということで、経営に関与しない相続人にも分散して生前贈与するといったことも見受けられましたが、それでは前述の大原則に反し、後継者が会社の安定的な支配権を確保できないことになってしまいます。

中小企業の事業承継がそんな大きな課題を抱えている中、平成18年5月に会社法が施行されました。株式会社制度と有限会社制度の統合等、会社法の目玉はいくつかありますが、一番は会社の内部自治(定款自治)の範囲が大幅に拡大されたことだと思います。

会社のことは会社が決めていい、という範囲が従前と比べて格段に拡がりました。ある意味では何でもありの世界になったと言えるくらいです。

株式についても、権利内容の異なる株式を発行することが可能になりましたし、持っている人によって株式の権利の内容を変えることまで可能になってしまいました。

このような株式を利用することによって、後継者に議決権のある株式を保有させ、経営にタッチしない相続人等には会社の支配権(議決権)のない株式を保有させることが可能になります。

その他にも事業承継に使える規定が会社法にはあります。会社法の活用は事業承継にとって大きな武器になります。

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ