会社発展のために必要なことを全員でやれるようにする方法

7月MG講演
「会社発展のために必要なことを全員でやれるようにする方法」
【講師】 河合製氷冷蔵株式会社専務  河合喜文氏

こんばんは、河合製氷冷蔵の河合と申します。皆さまの参考になるようなことがあれば、ということで、今、実際に会社でやっていることをお話します。河合製氷冷蔵株式会社は明治9 年と歴史は古く、関西、山陽地方をベースに食用氷を製造販売していま した。現在、本社は博多にあります。

■MT、MGとの出会い

No102_10441033現在の社長は私の兄ですが、先代社長と 90 年に唐突に社長交代することになりました。私の家系の男性は、あまり長命でなく、代々 60 歳前後で亡くなっていたため、当時の社長が 60 歳を迎えたので急遽交代することになったものです。

当時、36 歳だった兄と私が仕事を引き継ぐことになったのですが、経営の事は何も分からないところで仕事を任されることになりました。戸惑いながらも経営、簿記、などの勉強をしなくてはと思ったときに、当時は150万円ほどもしたSP250Ⅱという高価なマイツール(以 降、MT)というソフト専用のコンピュータを父が与えてくれました。

先代社長は既にこの時、西先生の著書は全て熟読し、MTの良さを感じ購入しました。(1台は自分専用、1台は会社用) また、初版の西先生の著作の数々も先代社長から引継ぎ、読みふけったものでした。

そんな中でMTを使い、経営の指標を作ったりしていましたが、マイ ツールユーザーグループ(以降、MUG)に参加し、同い年なのに知識も経験も豊富な超ベテランと出会い、強烈な刺激を受けました。

そこで1991年に初めてマネジ メントゲーム(以降、MG)に触れ ることになったのです。

MGは100回やると人間が変 わってくる、と言われます。MGの開発者であられる西先生に出会って、初めてのMGで「ゲームは駄目だけど、決算が速い」と褒められると嬉しいものです。その一言に励まされるようにして、今でもMGをやりながら、会社経営 を考えているわけなのです。

1992年には異業種の3社でMGの運営を始めました。MGは何のためにやっているか、というと「カモメのジョナサン」(リチャード・バック著)で例えると、主人公のジョナサンにとって重要なのは食べることではなく、より高く・より速く・より遠くへ飛ぶために努力し続ける事です。

個人においてもそうありたいし、企業においては全員がそうであり、自主的に経営を良くしたいからやっていこうと思っているわけなので、運営もあくまでも自主的に自由に行い、お互いが支える精神を高く持と う、というポリシーを掲げ、自主的な集まりである「博多シーガルクラ ブ」が誕生しました。

そこで学んだものを経営に採りいれ、実践していくことを幾度も繰り 返していくうちに会社のスタイルが決まり、優れた人材も育つようになってきました。それがわ が 社 に とっての MGの効果です。

■MTで簡潔な仕事に変革

度々登場するMTとは、リコーが販売していたデータベースソフトですが、現在は無料で配布されるソフ トになっています。MTは思考の流れどおりに計算や並べ替え、抽出などを行ってイメージ した計算結果を求めていきます。どんな情報も1行1データ形式で並べて入力しておき、後ほど目的に合せて必要なデータを引き出してきます。

このMTを使って当社は何が変わったか、ということですが、ほぼ 毎月発生する同じようなデータ入力の繰り返しをなくし、無駄な転記入力作業が極端に減らしました。一度入力されたデータは使いまわしでいろいろな形に加工して使います。

分かりやすく言うと、「データの入力は最初の一回だけで、同じ項目のものはその月に必要箇所だけ変更する。」「誰でもが扱える簡単さを生かして、決まったフォームに出てきたデータをとにかく貯めこんで おく」という二つのルールに沿って徹底してマイツールを使った結果、80人余りの会社の経理や総務を一人で対応できるようになりました。

経理の業務についてもっと詳しく言うと、経理ソフトは「勘定奉行」を使っていますが、直接入力するのではなく、通帳毎にMTで「出納帳」を作成します。各事業所では「現金出納帳」をそれぞれ作成します。分けて入力した方が、速いし残高が合わせやすいのです。MTで作成されたデータを変換して勘定奉行に取り込みます。

また、同じデータを利用して、現金出納、販売戦略立案、予算・決算、予実管理、スケジュール管理などにMTに登録してあるデータを加工して使っています。

■蓄積されたデータを使いまわし柔軟にデータを読む

No102_10442612つまり、一度蓄積された情報は無駄なく使いまわすという考え方にはMTが非常に便利だということです。具体的には、MTを全社員が使い、スケジュール、業務報告などあらゆるものを指定したファイルに蓄積していきます。その蓄積データを経理がMTを使用して集計し、会計に関わるものは会計に関するデータのみを抽出し、会計ソフトにデータをとりこみます。

経営戦略立案には、会計データをマトリックスプロという戦略_会計ソフトへとインポートして、ほぼ自動的に資料ができあがるようになっています。 ファームバンキングからは、直接 MTにデータを取り込み、その入出金データを経理データに加工して、入力の手間を省きます。

このように規則性があるもの(振込先もファームバンキングを使っていると同じ名前で毎回振り込まれる。)を利用して他人が入れたデータを活用するのです。通常はそれぞれの仕事に合せてソフトを導入しますが、データを各部で相互に使いまわすことは稀です。

そこでMTを共通ソフトとすれば、簡単にデータの共有ができます。データを後ほどどのようにでも加工できるソフトは現在のところMTが一番なのではないかと思います。

■MTとMG

MTで加工・整理された数字をどのように判断して経営の意思決定とするか…その時にはMGが役立ちます。当社も最初は全員参加でしたが、大人数だと次の回までにブランクができ過ぎてしまうので、少人数に分けて集中してMGを受講し短期間にレベルアップさせて、核となる社員を育て、その力で次の世代を育てるというように点と点をつないで線に して、次に面にしてという形で改革を進めると成果が出ました。

MGをやっていると理入(理論を学び、身につける)が楽になります。MGをやっていると、MTにも興味が湧きます。この循環が力になります。実際にそういった流れでやってきて、人材を育てるのが経営の重要な仕事だと感じました。

■「操作技術」は誰でも覚えられるが 「利用技術」を高めるのは難しい

操作技術というものは一般的に簡単に学べますが、利用技術はなかなか一人だけでは学べないものだということです。「利用技術」を学ぶのは「MG」が一番良いです。ゲームがMGでは無く二日間全てがMGなのです。

MTの優れている部分をエクセルに置き換えてやってみるのではなく、MTを使ってやってみることが重要です。その勉強の過程で自分のやってみたものを見てもらって、皆でワイワイ言いながらアドバイスをもらうこともできます。そのプロセスで人間が育っていくこ とも重要です。(西先生が言われる「芋洗い」)MTは一般的に普及しているソフ トではないのですが、やれるところから使ってみてお互いに高めあうこ とが大事です。

繰り返しになりますが、最大のメ リットは「無料の優れたデータベー スソフト」だということです。仕事のたびにデータを入力し直すなどの無駄を省いて、会社が儲かるために必要なことに時間をかけるこ とが大事ではないでしょうか?

平成 19年7月 12日 LR小川会計MGにて


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