社長給与の一部損金不算入がいよいよ本格的に始まる!

実質一人会社のオーナー社長に対する給与の一部損金不算入制度がいよいよこの平成19年3月締法人(5月提出)より順次本格的にその適用が始まります。

新会社法で最低資本金要件等が撤廃され、節税目的等の法人成りが容易となり、これを抑制する為18年度の法人税法改正において“実質一人会社規制策”としてこの制度が創設されたものです。

当初、社長給与の給与所得控除分(所得税法に規定)を法人税法において損金不算入とするこの制度は整合性がなく租税理論を無視したものであるとして、大きな反発が予測されその適用も見送られるのではとも思えたのですが、19年度改正において適用除外範囲は拡大(98号参照)されたものの規定どおり今後も継続されることになりました。

実質一人会社とは?

●適用対象会社

同族会社で、オーナー一族で株式の90%以上を所有かつ常勤役員の過半数を占めている。

●対象額

業務主宰役員【一人(社長など)】の給与の給与所得控除相当額。

●適用除外規定

①基準所得金額(所得金額と業務主宰役員給与の合計額の直前3年分の平均額)が800万以下。
②基準所得金額が800万超3000万以下で、その平均額に占める給与額の割合が50%以下。

増税額はどの位?対応策と今後における法人設立の効果は?

弊社では一年前より順次決算終了時においてお客さまにこの規定に該当するのか、また該当する場合にはその増税見込み額及び対策等をお知らせしてまいりました。

この規定に該当しますと社長給与の給与所得控除額相当額が損金不算入となる為適用会社により異なりますが概略50万円から250万円位の増税になる見込みです。

なおこの実質一人会社規制の対応措置として、持株割合や実質役員の検討及び業務主宰役員給与の検討、その他が考えられますがいずれもが実務上デメリットが大きくなる場合も考えられますので実行の際には事前にご相談をお願いします。

また、この規定が個人事業者との課税格差を減少させる目的で創設されたことから実質一人会社の設立メリットが大幅に縮小されたことは否めません。しかし法人化を計ることによる信用力のアップ、家族役員等への所得分散による所得税の縮小、資産を分散することによる相続税の軽減等その設立効果はまだあると考えられております。

今後全廃はあるのか?

No98_1141858給与所得控除額の本質は所得税法において給与所得者の概算必要経費額として認められているものであり、その額を法人税法の計算において損金不算入額として加算する理論は課税主体を混合した話と思われます。全廃意見がもっと高まってもよいと思いますが…。

 


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