第1回 かわしんビジネスフェア 講演記録

・中小企業経営者に迫ってくる課題
・事業の成長と事業承継
・ハッピーリタイアメントを目指して

No97_13757592月21日~22日の二日間にわたり開催された川崎信用金庫主催の第一回かわしんビジネスフェアに於いて、このほど発足した川崎中小企業M&A推進協議会会長・小川湧三氏による講演が行われた。

当日の講演会場には金融関係者のほか、中小企業経営者、経営コンサルタントなど多数来場し、好評を博した。

政府による脱踊り場宣言に続き、史上二番目といわれる景気上昇期を更新しつつあり、新会社法の制定による環境整備も伴ってマスコミへのM&Aの浸透、一般的な認知度の高まりが見られている。

M&Aというとややもすれば大企業同士のもの、と考えがちだが、実際には中小企業にとって大変身近なものになるだろうと小川会長は話された。

今回発足した川崎中小企業M&A推進協議会は、先立って設立された神奈川M&Aセンターで取り扱うM&A案件が増加してきたため、対象企業へのアクセスを向上させるために該当地区の税理士事務所がそれぞれのエリアをカバーする形になっていた。

その流れの中で川崎市の中小企業がM&Aを行おうとする時にいかにして売り手と買い手を結び付けていくのか、どのようにして結びつきを創るかという課題解決のために川崎エリアをカバーする川崎中小企業M&A推進協議会を4税理士事務所が中心となって発足した。

新会社法は追い風

新会社法が平成18年5月1日から施行され、大企業中心の会社法から中小企業に注目したアメリカ型の会社法へ変わった。
このことにより事業拡大により進化する事業規模に応じた最適な企業形態を形作ることが容易にできるようになってきた。

小川会長は次のように現在の情勢分析と川崎中小企業M&A推進協議会の必要性を説いた。

現代は「第二の敗戦」

「デフレによって破壊された社会基盤や企業文化の有様は『第二の敗戦』と呼ぶにふさわしく、また別の局面でIT化が進み、刻々と進む変化についていける企業とそうでない企業の格差が拡大している。そういった劇的な変化の局面で従来の経営方法を継承するだけでは後継者問題や経営方法などの問題が生じてくるようになってきた。」

中小企業の真のパートナーは?

No97_1381674誰に事業承継の相談をするのかについて次のように述べられた。
「難しい立場の経営者の身近な相談相手として信頼されているのが地域金融機関と税理士ということが中小企業白書の調査結果に現れている。

そこで会社組織を事業規模に合わせて最適な形で柔軟に運用できる新会社法は中小企業にとって都合の良い仕組みを提供している。しかし、人的資源や経営資源の不足を補う仕組みを中小企業に提供する役割が不足しており、その役割を果たす一番身近な立場が地域金融機関と税理士ではないかと考えている。

社会・経済情勢の変化に対応した形で中小企業の本質的な発展を支えるコーディネーターとして川崎中小企業M&A推進協議会が果たす役割は大きい。」

経営者の最終ゴールはハッピーリタイアメント

経営者の最終ゴールはどんな事業規模であったとしても「ハッピーリタイアメント」に集約されると繰り返し論じられた。

中小企業は後継者のいない企業も少なくなく、中小企業白書によるとそういった企業の中の約13%は「誰かに事業を託したい」という希望を持っているという。

また、事業承継者がいたとしても現在の社長が事業を引き継いだ時代とは様変わりしているために簡単には事業を引き継げない経営の難しさが障害となるため、これから事業承継する人は創業者のつもりでやらなければ企業が耐えられないとも小川会長は指摘する。

そのような中で事業を継続していくには企業が相互に求めるものを補い合う関係で友好的なM&Aが重要な方法となってくる。

M&Aは中小企業にこそ必要になってくる

具体的には譲渡企業は持株を適切な価格で現金化でき、買収企業は事業発展に必要な人材や技術・設備といった経営資源を迅速に入手できるため事業拡大のスピードアップが図れる。それをスムーズに進行させるために中小企業のパートナーとなる地域金融機関、税理士などが協力し、双方に良い状態を作り出すことによってのみ中小企業のM&Aが成立する。

M&Aというと苦渋の選択といった見方があるが、現実的にはそうではなく時代の大きな潮流に自社の持ち前の技術を乗せて、誰にとっても良い形で後世に技術を伝えるための有効な方法なので、技術を求める他社に自分の技術を移植するという考え方で技術を伝えることをも積極的に考えていくべき時代に来た、と小川会長は講演をまとめられた。

 


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