次世代WEBで戦う売れっ子店長の秘密③

連載・次世代WEBで戦う売れっ子店長の秘密③
たのもうや@武道具店
コミュニケーションで育っていくネットショップ

● 意味のあるキーワードとは?

売上げを伸ばすためのポイントとして「意味のあるキーワードをつかむ」ということが繰り返し話の中に出てきた。

意味のあるキーワードとは自社サイトにアクセスしてくる時の検索キーワードで、使用率が高くかつ購買に結びついていると予想される検索語である。

これは何かのサービスでポンと提供されるものではなく、自社のアクセス解析データやクリック広告のコンバージョンデータなどを集めてアクセス記録全体を俯瞰・分析すると見つかるものである。

自分なりにお客さま心理を考えたら重要だろうと「思い浮かべたキーワード」とは異なるので、注意が必要である。

このキーワードを把握することによって検索によって自社サイトを多くの人の目に触れることがショップの売上げ向上にとって大事か、というと実はもう一つ大きなポイントがある。

●ネットで買う理由を創る

それは「ネット通販で買わなければならない理由」を作ることが必要なことだと東海林氏は語る。

「100万を超える月商を作り出すためにはオリジナル商品を持っているということだけでは難しいんです。やはり競合する会社や製品があり、そことの比較でこっちが良い、という理由が必要になってきます。

単独で新しい市場を作ることは大変難しいことです。ですからライバルショップが出てきて、お互いに競いあいながら市場を作っていくことが必要なんです。その結果、インターネットで買うと良いという理由がお客さまに定着してくる。そこが重要なんです。」と言われる。

メイン商品を売るために懸賞やキャンペーン、プレゼント企画などを数多く用意して、商品購入者から生の声をかなりの費用をかけて積極的に集めている。

競合商品との差別化を図るポイントを見つける意味もあれば、まだブランドになっていない商品をブランド化するためでもある。無名の商品とショップをメジャーに押し上げるためには口コミを作り出すことが大変重要な要因となる。

ネット通販では商品の質感や仕上げを確かめることができない。商品写真を見て商品が分かったような錯覚を起しているが、商品を見ているわけではない。そこで購入を決心するまでにはいろいろな判断が必要になってくる。

その判断の手助けとなるのが購入顧客の生の声である。
実店舗ではCMの他に販売員の接客が上手かどうかで購入するか分かれるが、かたやネットショップでは自分が欲しい商品なのかをたくさんの同等商品を候補として比較検討し、総合的に判断して購入を決定する。ここがリアル店舗での購入と決定的に違う部分である。

インターネットを使えば、ごくわずかの手間で同等商品の相場を知ることができる。

現実的には数多くの候補の中で一円でも安いところに購買が集中することになる。

「一番○○だから買う」という購入心理があればこそ、○○の中に入るのが「安さ」でないとしたらお客さまの期待している「○○」が「どの商品よりも一番優れている」ことが既に買った人の口コミから分かればよく、場合によっては自分が買うだけでなく他人にも薦めてくれる。

その点をショップが買う側の「何の情報を必要としていて、どんな条件が揃った時に購入したか」を把握していれば、きちんと売れる仕組みを作ることができる。

●ユーザー同士のつながりコミュニティ

購買行動を熟知して分析を欠かさず、素早く行動することが「なんとなく商品を買ってみようかと考えているお客さま」を「買うお客さま」に変化させることにつながっていることは概念的には分かったが、さて、それをどうやって実際のお客さまの気持ちの動きを把握すれば良いのか?

東海林氏は情報が自分のやりやすい形で流れ込んでくる仕組みとしてネットショップ、ブログ、SNSを柔軟に使い分けておられる。特にSNSの使い方には特徴がある。

2006年9月号「月間ネットショップ&アフィリ」に掲載されたたのもうや@武道具店を紹介する記事によると熱烈な剣道愛好家(マニア)と剣道を始めたばかりの子どもをもつ母親とは話題が噛み合わないため、雰囲気が悪くならないようにコミュニティを分割し、ショップが承認したメンバーに限定してコミュニティに参加してもらったとある。

この配慮によってコミュニティ参加メンバーは安心してユーザー同士のコミュニケーションを楽しむことができたのである。

この運営方法の核心はそれぞれの客層に快適に落ち着いていられる場所を販売側が積極的に提供したことだ。その心地よさゆえにリピートもあるし、自然発生的に口コミでの高評価も出てくる。

その総合力が年商一億に迫る元気印のネットショップとなって売上げが売上げを産み、顧客が顧客を集めるという仕組みを成立させている。

東海林氏は簡単に話されているが、非常に繊細な配慮を途切れることなく継続していらっしゃる様子が強く感じられた。

ここで勘違いをしてはならないのが「ブログやSNSを設置すれば、集客や信頼性向上に役立つ。我が社も設置を急ぐように!」となってはいけないことだ。

ここまで読んでいただければお気づきのことと思うが、ブログやSNSというシステムが自動的に集客をし、信頼性の向上が図られるわけではない。

そのシステムを明確な目的と十分なお客さまへの配慮をもって運営した結果が「お客さまがショップに集まり、お客さまがいつどんなものを欲しているのかを自然に知ることができる雰囲気になる。」ということだからだ。

コミュニティでは管理側の人格が反映されていくので配慮が必要がある。》次回最終回


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