中小企業の事業承継の課題
先月、事業承継は中小企業の共通の悩みということをお話ししました。
一般的に中小企業において後継者に事業を承継していく時にクリアしていかなければならない課題は大きくは次の３つだと思います。
①会社支配権（株式）の承継・確保
後継者が会社を承継した後、安定して会社を運営していけなければいけません。そのために必要な法律上の権限、すなわち株主総会での議決権（特に役員選任権）を後継者にきちんと承継していく必要があります。後継者がお身内の場合は、税金も含めた相続の問題として対処していくことになります。
②後継者の経営能力、事業のノウハウ・技術の承継
法律上の会社の支配権を後継者にきちんと承継したとしても、中小企業においては事業のノウハウや技術は会社に蓄積されているというよりも実際には社長さん個人のノウハウや技術に負うところが大きいと思います。引き続き会社が事業を継続していくためには、事業そのもののノウハウや技術を後継者等に承継していく必要があります。
また、後継者自身が経営者としての能力を身につけ、そして磨いて、実質的な会社の運営を行えるようにならなければなりません。
③後継者の財産的なバックボーンの形成
（会社債務の保証能力等）
会社が銀行借り入れをしていく場合、代表者はその債務について連帯保証を求められます。そして会社の状態も良い時ばかりではありません。資金が必要になった時に社長個人の資金を会社に投入することが必要な場合も出てきます。中小企業においては社長個人がある程度の資産を持っているという財産的なバックボーンが必要となってくるのです。
また、後継者が株式を買い取る形で株式を後継者に移転していく場合には、後継者に株式の買い取り資金を準備していく必要があります。
以上のそれぞれの課題については、今後引き続きお話しをしていこうと思います。
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