9・11選挙と中小企業と国民のくらし

9月11日小泉首相による郵政民営化を問う衆議院銀選挙が行われた。自公連立与党が自由民主党296議席、公明党31議席与党合計327議席を得て圧勝した。

今までの自民党の政策決定過程が利害調整型のためその過程が不透明であったものが、今度の小泉自民党はきわめて明快に「構造改革」「郵政民営化」とその審議過程も含めてきわめて明快に国民に提示し、利害調整型の清治プロセスと決別したこと行動で示したためと思う。

与党はこれから4年間特別の事態が生じない限り安定政権として政権を担うことになる。

21世紀を迎えて世界の大転換期に向かう日本にとって、また、デフレ脱却から経済の回復期に向かうなか、年金・財政・少子高齢化による社会構造など戦後の制度崩壊から新しい制度設計を求める日本国民にとって非常に重要な出来事である。良くも悪くも日本の命運を決める政権と言っても過言ではなかろう。

安定政権と日本が抱える課題

解散総選挙を発表した翌日、政府・日銀は景気の「踊り場脱却」宣言をした。これからの国民の暮らしがこの宣言どおり明るいものであることを期待したい。

しかし、多くの国民は期待する反面新たな不安・畏れもかすかに感じているのではなかろうか。谷垣財務相は早くも消費税12%引き上げに言及した。確かに課題が山積している。

小泉内閣が進めてきた「郵政民営化」に象徴される構造改革路線支持した今回の選挙は、財政再建や高齢化社会を迎え国民の暮らしを直撃する年金制度改革が求められているものと言えよう。これらの再建や制度改革には強力な推進力を持つ安定した政権が求められたことは当然である。

しかし、これらの再建問題は消費税をはじめ税制の抜本的改正、いわゆる増税や年金掛け金の負担増・給付減など国民の痛みを伴うものである。

国民の一抹の不安はこれらの再建やデフレ脱却を急ぐあまり、バブル崩壊が政策の失敗に基づくものであると言われているように、国民の不安を煽るような過剰なゆり戻し政策に陥らないように念じるものである。

少子高齢化社会を迎えて

今年、2005年上半期の人口統計が死亡数が出生数を超え、2007年からとする政府予想の人口減少時代が2年早く到来することが明らかになった。

さらに、平穏のうちにペイオフ解禁されたが、郵政民営化の方向が決定したことにより、これから地域金融機関の再編が加速されるものと思われる。その中には足利銀行の債務処理における鬼怒川温泉街の崩壊に象徴される地方の商店街の最終処理が急速に行われる気配がある。

堺屋太一氏が7月に商店街の再興をテーマに一斉定年退職時代をむかえる団塊の世代を主人公にした小説「エキスペリエンツ7(セブン):団塊の7人」を発表した。

高齢化社会を三つの類型に分け、これからは現在の農山村に多い「残留型高齢化」や戦後開発された団地などの「一斉型高齢化」と異なる「混合型恒例化」社会が来ると予測している。

混合型高齢化社会は、車社会から「歩いて暮らせる街」、お客さまを囲い込む大型店舗、人間付き自動販売機(コンビニのこと)からふれあいのある街への回帰が始まると予言している。

また、高齢化社会は消費金額が低下するのではと言う疑問に対して、確かに支出は減るが、その中身は教育費、電気製品や自動車などの耐久消費財、交際費などでむしろ身の回りの消費支出は増える傾向にあるとのことである。

高齢化社会の到来と言われても漠然としてイメージできなかったが、混合型高齢化社会は商店街を再興する希望を抱かせるものである。停滞する商店街のお客さまを多く持つ我々に多くの示唆を与えてくれるものである。

バブル崩壊が政策の失敗に基づくものであると言われているように、さらに、平穏のうちにペイオフ解禁されたがこれから地域金融機関の債務処理が加速される。その中には足利銀行の債務処理における鬼怒川温泉街の崩壊に象徴される地方の商店街の最終処理が見えてくる。

民主党が退廃し、その分自民党が大勝した。「エキスペリエンツ7(セブン):団塊の7人」団塊の世代の政治的には外交や憲法改正問題であり、経済的には国と地方公共団体の債務が1000兆円を超える財政再建問題である。政治的問題はさておき、経済的問題が我々にどう影響を及ぼすかである。

新たな兆し

2005年は踊り場脱却宣言に代表されるように新たな兆しが見え始めた年でもある。原油の価格が70ドルを超え、不動産の価格が都心を中心にようやく上昇し始めた。また、金融機関の貸出が一部に増加し始めた。

(小川 湧三)

 


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