経営のための会計とは
~『稲盛和夫の実学』より~
京セラ創業者の経営書で20年以上前に書かれたものですが、その内容は色褪せるどころかむしろ重みを増しているとさえ思えます。印象に残った言葉の一部をご紹介します。
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●常識に支配されない判断基準を持つ

物事の判断にあたっては、人間としての基本的なモラル、良心に基づいて何が正しいのかを基準として判断することが最も重要である。会計においても、会計上常識とされている考え方や慣行をすぐにあてはめるのではなく、改めて何が本質であるのかを問い、会計の原理原則に立ち戻って判断しなければならない。常識にとらわれず、本質を見極め正しい判断を積み重ねていくことが、絶えず変化する経営環境の中では必要である。例えば売上に対して経費が15%はかかるという業界の常識を前提にして経営すると、意図せずとも同業他社と横並びの経営になってしまう。
●会計を理解しないと真の経営者になれない
会計というものは、経営の結果をあとから追いかけるためだけのものであってはならない。いかに正確な決算処理がなされたとしても、遅すぎては何の手も打てなくなる。決算書を見て、たとえば伸び悩む収益のうめき声や、やせた自己資本が泣いている声を聞きとれる経営者にならなければならない。
●キャッシュベースで経営する
様々な会計上のプロセスを通じて計算されたペーパー上の「利益」ではなく、まぎれもなく存在する「キャッシュ」に基づいて経営の舵取りを行うべきである。毎年何とか決算上は利益が出ているのに、実際の資金繰りは苦しく、いつも資金が不足しているような会社は「キャッシュベース」ではなく、決算上の「利益ベース」のみで経営している結果であろう。「儲かったお金はどこにあるのか」というのは、経営者が決算書を見るたびに常に問いかけなければならない大切なことである。
●経営の透明性
経営は幹部から一般の社員に対してまで「透明」なものでなければならない。会社の使命は、そこに働く従業員一人一人に物心両面の幸福をもたらすと同時に、人類、社会の発展に貢献することである。透明な経営をすれば、この使命達成のためにトップが先頭に立って奮闘していることが、社員の目からも一目瞭然になる。

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