第64回 チャットGPTについての包括的なレビュー⑦
情報セキュリティ連載
試される人工知能「チャットGPT」の実力
生成AIを活用する際には、プロンプトと呼ばれる指示を与えることが重要です。プロンプトは、生成AIにどのような出力を生成させたいかを明確に伝える役割を果たします。プロンプトが適切でないと、生成AIは期待通りの出力を生成できない可能性があります。
本記事では、生成AIのプロンプト「深津式プロンプト」について解説します。深津式プロンプトは、生成AIをより効率的かつ精度高く利用するために設計されたフレームワークです。深津式プロンプトのポイントを押さえることで、生成AIからより精度の高い出力を実現することができます。
1 深津式プロンプトの5つの要素
深津式プロンプトは、以下の5つの要素で構成されています。
① 役割
生成AIにどのような役割を担ってもらいたいのかを明確にする。
② 入力
生成AIにどのような情報を入力するのか、その量や質を明確にする。
③ 出力
生成AIにどのような内容を生成させたいのかを明確にする。
④ 制約条件
生成AIにどのような制約を課したいのかを明確にする。
⑤ 表現方法
生成AIにどのような表現方法を採用させたいのかを明確にする。
このように質問する内容を上記のような要素に分け質問することで答えの精度を向上させることが可能です。
2 生成AIの「新しいチャット」を意識して使っているか
プロンプトの構成を理解する前提として生成AIのチャットボットの仕組みについてまず、触れさせていただきます。
ChatGPTやBardを利用される際、ChatGPTの「clear chat」Bardの「チャットを新規作成」のボタンを意識していますか。
1つのチャット上に様々質問をずっと投げかけているのか、質問の内容ごとに新しいチャットを作り質問しているかということです。
意図した答えが返ってこない半分以上の要因がこの仕組みを理解しないで利用していることにあります。
例として、ChatGPTに日本の現職の総理大臣は?と聞くと2021年の情報しかなく菅義偉氏と答えます。
なのでChatGPTに現職の総理大臣は岸田文雄氏と伝えます。
その後、2021年の9月の総裁選で勝ったのはだれ?と質問すると、岸田文雄氏と答えます。
一方、新しいチャットで現職の総理大臣の情報を与えずに、2021年9月の自民党総裁選で勝ったのは?と聞くと、石破茂氏だったり菅義偉氏と嘘を答えてしまいます。
このように、生成AIの特徴はチャット上で情報を与えるとそれを元にチャットの情報をやり取りする特性を持ちます。
なので、質問が継続する場合には同じチャット内で質問を続け、違う内容の質問の場合は新しいチャットで質問するように心がけてみてください。確実に返す答えの精度が変わってきます。
3 画像解析をAI-OCRと生成AIにかけた場合大きく答えが変わってくる
このようにChatGPTやBardのような生成AIは投げかけられた情報から様々な答えを生成します。生成AIには新しい機能として画像を解析する機能が追加されました。
AI-OCR(※1)でも従来のOCRでは解析が困難だった銀行通帳のドット文字や手書き文字などを解析できOCR技術を飛脚的に向上させたのですが、このAI-OCR技術を生成AIが融合することでさらに画期的な結果を生み出しています。
ドット文字が読めるAI-OCRも非定型なもの、文字がバラバラに載せてある画像などは人間が意図するような文字データとして解析は難しいものでした。
しかしながら、生成AIがこの画像に絡むと人間が意図した文字データとして解析してくれるようになるのです。
つまりバラバラに解析された文字データを生成AIへの命令文(以下プロンプトとします)によりそのバラバラな文字データから必要な情報を引き出してくるのです。
今までAI-OCRでも諦めていた書類の解析が驚異的にデータ解析してくることに驚かされました。
やはり汎用型人工知能(※2)の実現は想定より早く実現されるのではないかと思います。
4 深津式プロンプトの解説
では実際に深津式プロンプトの内容をみていきましょう。
① 役割
役割とは、生成AIにどのような役割を担ってもらいたいのかを明確にすることです。例えば、文章を生成させたいのか、翻訳させたいのか、コードを生成させたいのかなど、目的を明確にする必要があります。具体的にはプロのライターやプロの経理というように生成AIを生成してほしい内容の仕事人に指定します。このことで生成AIへ明確な役割を与え、余計な情報を生成させないようにする効力をもたせます。
今回はここまでとさせていただきます。
次回は ② からの内容をつづけさせていただきます。
※1:
AI-OCRとは、AI(人工知能)を活用したOCR(光学文字認識)技術です。従来のOCRでは、文字の形状や大きさなどの特徴を元に文字を認識していましたが、AI-OCRでは、文字の形状や大きさだけでなく、文字の位置や行間、文字列の構造などの情報を組み合わせて文字を認識します。
そのため、従来のOCRでは認識が難しい傾向にある、手書き文字や斜めになった文字、画像データなどの文字も高い精度で認識することができます。
※2:
汎用型人工知能とは、人間と同じようにあらゆる課題を処理できる人工知能のこと。
具体的には、以下の3つの特徴を備えています。
⑴ 特定の課題に特化していない
⑵ 自ら学習し、判断し、行動できる
⑶ 人間と同等の知能を持つ

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