住宅関連税制と住宅購入のポイント

クローバー通信 No.184

コロナを機に働き方や価値観が変わった人も多いのではないでしょうか。実際に戸建て住宅の需要が多くなっていると耳にします。

今回は家を購入する際に覚えておきたい、住宅関連税制を紹介すると共に、住宅購入を考える上で注意したいポイントなどを取り上げていきます。

はじめに 制度をめぐる背景

昨年の消費税10%引き上げの際に、住宅取得の支援策が拡充されました。

1 住宅ローン減税の控除期間が13年間に延長

2 すまい給付金限度額の見直し最大50万円に

3 自己資金による認定住宅新築特別控除控除額の見直し

4 住宅資金贈与税非課税枠は最大1,500万円

共通する要件は、居住用の住宅であること、住宅の床面積が50㎡であること

1 住宅ローン減税〈住宅借入金等特別控除〉

ポイント

• 毎年の住宅ローン残高の1%を13年間、所得税から控除
• 所得税で控除しきれない分は住民税からも一部控除
• 住宅ローンの借り入れを行う個人単位で申告
• 令和元年10月~令和3年12月末までに入居すること

対象者

❶ 新築または取得の日から6カ月以内に居住し、適用を受ける各都市に12月31日まで引き続き住んでいる

❷ この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下である

主な適用要件

帳簿

❶ 住宅の床面積が1/2以上居住用である

❷ 借入金の返済期間が10年以上である

❸ 銀行などからの借入金である

税額控除の計算

当初10年間

借入金年末残高(上限4,000万円)×1% 最大400万円

11~13年

❶借入金年末残高(上限4,000万円)×1%
❷[建物の取得価格(税抜・上限4,000万円)]×2%÷3 のいずれか小さい額

住民税からの控除上限額13.65万円/年(前年度課税所得×7%)

◆ 個人が売り主の中古住宅を購入して消費税が非課税の場合は、入居期間を問わず3年間の延長措置はありません。

2 すまい給付金

ポイント

• 消費税引き上げによる負担額を軽減するために現金を給付
• 年収が低い人ほど給付額が多くなる
• 新築でも中古でもOK
• 申請は、取得住宅を保有している人(持分保有者)
• 平成26(2014)年4月から令和3(2021)年12月まで実施

対象者

❶ 自分で居住する住宅を取得し登記簿上の持分を保有している

❷ 都道府県民税の所得割額が一定以下(収入の目安が775万円以下)

❸ 住宅ローンの利用がある

❹ 住宅ローンの利用がない場合の追加要件

◦ 引き渡しを受けた年の12月31日時点で50歳以上
◦ 収入額の目安が650万円以下(所得割額が13.3万円以下)

対象住宅の要件

❶ 施工中(新築)・売買時(中古)等に第三者の現場検査を受けて一定の品質が確認されたもの

❷ 工事完了から1年以内に居住の用に供したことがない(新築)

❸ 売主が宅建業者である(中古)

給付額の計算

給与額 = 給付基礎額 × 持分割合

◦ 給付基礎額は都道府県民税の所得割額によって決定されます。
◦ 各都道府県や政令都市ごとに異なりますが、年収450万円以下で、給付基礎額が最大50万円となります。
◦ 共有名義の場合は、居住する共有者の持分ごとに給付額を決定します。

◆給付基礎額は、住宅の引き渡し時期(持分の登記時期)で決まる為、2020年の年収が2019年より下がる見込みであれば、2021年7月以降に引き渡しを受ける方が、給付基礎算定額が高くなる可能性があります。

3 投資型減税〈認定住宅新築等特別税額控除〉

ポイント

• 長期優良住宅や低炭素住宅に対応した減税措置
• 現金購入の場合に利用可能
• 1年で控除しきれない場合は翌年の所得税からも控除

耐久性や省エネルギーに優れた住宅を、自己資金のみで取得する場合に、所得税が控除される制度です。

対象住宅の要件

認定を受けた長期優良住宅や低炭素住宅

税額控除の計算

控除額 = かかり増し費用 × 床面積(㎡) × 10%

◦ かかり増し費用 = 43,800円/㎡
◦ 控除対象限度額 = 650万円最大控除額 = 65万円

※ かかり増し費用とは?:官公庁が行う補助事業などで、取り組みをした場合の工事費と、それを行わなかった場合の工事費の差額のこと。

4 住宅資金贈与

ポイント

• 父母や祖父母など直系尊属から、住宅取得資金の贈与を受けて住宅を取得した場合、最大1,500万円までの贈与が非課税となる

対象者

消費税10%が適用される新築・中古住宅の取得・リフォームで、令和2年4月~3年3月末までに契約を締結した人。令和3年4月から12月末までの契約では非課税枠は最大1,200万円まで。

5 住宅購入を考える上で注意したいポイント

▪ 住宅購入の目的は?
▪ ライフプランにおける住宅購入の必要性は?
▪ 家計にとって住宅価格や住宅ローン借入額は適正か?

住宅購入の目的と必要性については、家族構成や、ライフプランの中で実際に必要な時期がどれくらいか、転勤の可能性や実家をどうするか、なども念頭において考えましょう。

一生住むのか、住み替えを考えるのかによって、場所や物件の選び方が変わってきます。場合によっては、賃貸や実家の活用が目的に合う場合もあります。

住宅ローンは家計の固定費に占める割合が多いため、慎重に組む必要があります。経済情勢が回復しているとは言い難く、コロナウイルスの第3波の可能性もあります。収入が減っても返済できるか、数カ月生活できる貯蓄が準備できているかも考慮しましょう。

また共働き世帯が増え、夫婦2人がそれぞれ住宅ローンを組む事も可能ですが、借入額が増え、物件価格が高くなる傾向があります。女性は依然として出産・子育て・介護などで働き方が変わる可能性が多いので、余裕のある資金計画を心掛けましょう。

◆「家賃と住宅ローンの返済額と変わらない」はホント?

適用される住宅ローン金利は変動型の35年と返済額が最低になるように記載されている事が多く、実際にはその返済条件はずっと続きません。また所有の場合は固定資産税や修繕費用がかかります。きちんとキャッシュフロー表を作成しましょう。

まとめ

住宅購入では、目的と身の丈に合った物件選びと資金計画がポイントです。その上で様々な支援制度を上手に使っていきましょう。詳細に関しては、HPで諸条件などが詳しく説明されていますので、参考にして下さい。

◇ 住宅ローン減税、住まい給付金

 すまい給付金事務局http://sumai-kyufu.jp

◇ 住宅資金贈与国税庁HP

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

 

 

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