解説:投資信託③ 為替の影響と為替ヘッジ

クローバー通信  No.177
投資信託③ 為替の影響と為替ヘッジ

毎日のニュースの中で、ドル円の動きは報じられています。
多くを海外からの輸入に頼っている日本は、為替の変動が家計にも大きく影響しています。

また、海外資産への投資を考える際にも、購入・売却時の為替により収益は増減します。

今回は為替の仕組みや、海外債券・海外株式型の投資信託を購入する際に名前の出てくる「為替ヘッジ」について取り上げます。上手な付き合い方を学び、投資にも役立てましょう。

1 外貨資産を持つ際のポイント

① 外貨の両替にはコストがかかる
② 為替が変動すると為替差損益が発生する
③ 預金保険制度の対象外

①為替手数料

為替

両替する時には為替手数料がかかります。
通常、その手数料は交換レートに上乗せされて徴収されます。

TTS=円を外貨に交換する場合のレート
TTB=外貨を円に戻す場合のレート

◇1ドル110円・片道手数料1円で、10万円を投資する場合

外貨に替える時:TTS=110+1=111円 10万円÷111=900.90$
日本円に戻す時:TTB=110-1=109円 900.90$×109=9万8,198円

◆手数料2回分 2円以上の円高にならないと損失が発生!

外貨両替手数料比較

◇取引量により異なる

米ドル>ユーロ>豪ドル>英ポンド>その他通貨
高い<ーーーーーーーーーーーーーーー>安い

ドルやユーロなど取引量が多い通貨は為替手数料が安く、取引量が少ない通貨ほど高くなる傾向にあります。※高金利外貨預金、新興国債券など注意

◇商品により異なる

現金両替>外貨預金>外貨MMF>FX(外国証拠金取引)
高い安い

◇取扱金融機関によって異なる

②為替取引と変動の要因

為替取引は世界各国のあらゆるところで行われ、取引量は上位から、ロンドン・ニューヨーク・日本・シンガポールとなっており、24時間動き続けています。

どのような要因で変動するのか?

為替

◦貿易収支、資本収支の変化(黒字の拡大など)
◦金利格差、株価動向
◦カントリーリスク(その国の政治的・経済的リスク)
◦誘導政策(円安誘導など)
◦期待「長期的に成長する=国力のある」通貨は強くなる

実際の為替相場は、1対1の国の関係だけではなく、相対的に判断される場合も多い為、様々な要因が絡み合って変動しています。

円安・円高

③預金保険制度の対象外

預金保険制度は、金融機関が破綻した場合、元本1,000万円とその利息について保護される制度ですが、外貨預金は預金保険制度の対象外です。

外貨MMF・投資信託・外国債券・外国株式は、価格変動リスクはありますが、証券会社の資産とは分別管理され、証券会社が破綻しても守られます。

2 外貨資産のリスクを軽減する手法

【ドルコスト平均法】

価格が変動する商品において、定期的に一定の金額分を購入していく方法です。毎月一定額を購入すると、相場の波に応じて、高い時には少ない口数を、低い時には多い口数を購入する事になり、結果的に同じ投資額でも口数は多くなり、購入単価を抑える事ができます。

ドルコスト平均法(積立)では変動が大きい商品の方が効果的!

ドルコスト平均法の効果

【為替ヘッジ】

為替ヘッジとは?

為替リスクを回避する事を為替ヘッジと言います。英語で[Hedge]防止策という意味があります。

一般的な手法としては

① 外貨建て資産へ投資すると同時に、その時の為替レートと同じレートで数カ月先にその外貨と日本円を交換する契約(先渡し契約)を結ぶ方法
② 為替の先物取引を売り建てする方法

などがあります。

為替ヘッジを行うと、為替のリスクを軽減することができますがヘッジコストがかかります。

買付する外貨の金利水準と日本の金利水準の差がコストとなり、投資先の金利が高い国であればあるほど、為替ヘッジコストが高くなり、運用成績を下げる原因にもなります。

為替ヘッジあり

為替相場の影響は軽減され、円高による為替差損が限定的。
×ヘッジコストがかかる。円安による為替差益も少なくなる。
為替変動の影響を少しでも抑えたい、今後円高になると考える人向き。退職金の運用、安定配当目的の海外債券運用に向く。

為替ヘッジなし

ヘッジコストがかからず、円安による為替差益が利益となる。
×為替変動の影響をダイレクトに受ける。
為替ヘッジコストの負担が気になる人、今後円安になると考える人向き。積立投資・長期運用におすすめ。

まとめ

日本ではマイナス金利の導入もあって、円での安定した資産運用が難しくなってきており、世界経済が時間差なく影響しあう中で、リスク分散として外貨資産を持つという考え方は一般的になってきています。

金利に目が向きがちですが、高金利の外貨預金や新興国債券は為替手数料の高さ、金利差によるヘッジコストの高さなど、目に見えないコストがかかっている場合があります。

金融商品を選ぶ際は、目的と期間を定め、自分に合った商品を選びましょう。

 

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