交際費課税はいつから?

2020年度税制改正大綱に、大企業の交際費支出に特例として適用している減税措置の見直しが盛り込まれました。

企業が取引先の担当者を接待するための飲食代や贈答品などの購入代は交際費と位置づけられ、企業会計では「費用」となりますが、法人税(租税特別措置法)では原則として「損金」に算入できません。ただし、一定の上限を設けた上で、大企業と中小企業でそれぞれ損金と認める「交際費特例」があります。

このうち資本金100億円超の大企業に限り2019年度末で特例を廃止するとのことです。大企業向けの交際費特例は現在、接待などで使った1人あたり5千円を超える飲食代は年間の総額のうち半額を損金として、法人税の課税所得から控除できます。これを廃止すると、資本金100億円超の大企業による交際費はすべて損金算入できなくなります。

ただし、企業全体の99%を占める資本金1億円以下の中小企業向けの減税措置は継続するとのことです。中小企業が2017年度に支出した交際費は2兆9662億円で、この大半が特例措置で損金になりました。大企業に比べると制度の利用が多く、廃止すると経営に影響しかねないと判断したということです。中小企業は飲食代の総額の半分か、年間8百万円までのどちらかを損金に算入できます。

そもそもなぜ交際費が損金として認められていないのでしょうか。話は昭和29(1954)年にさかのぼります。

当時、日本の企業は朝鮮戦争の特需で潤い、多額の交際費を支出し、会社の交際費で飲み食いをする社用族によって繁華街がにぎわっていました。政府は、日本の当時の企業にとって必要なのは資本蓄積であり、交際費の乱用によって資本蓄積が妨げられてはならないと考え、交際費の損金算入を規制したのです。当初は3年間の時限措置として導入されたのですが、一度導入するとなかなかやめられないもので、なんと、65年たった現在でも交際費の損金算入を規制し続けているのです。

交際費というのは本来「費用」であり、このような規制は昭和29(1954)年当時の事情から設けられたもので、現在とは状況が違っています。交際費課税は廃止し、取引先と居酒屋で大いに飲んでいただき、景気を盛り上げていただければと思うのですが、いかがでしょうか?

《出典》日本経済新聞2019年12月13日朝刊三木義一「税のタブー」集英社

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