オペレーションZ

会長オペレーションZ

今年10月末、真山仁氏の「オペレーションZ」が発刊された。本のオビに「破綻(デフォルト)を回避するには国家予算を半減せよ!」とあり、内容は、1000兆円を遥かに超える政府債務について世界が静かに注視している中、生命保険会社に取り付け騒ぎが起きた。その処理と政権交代の後デフォルト回避のためのプロジェクト「オペレーションZ」を立ち上げ、オビに書かれているように実質75兆円の予算額を25兆円に絞り込む作業を始めたが、最終的には国民の支持が得られず政権交代が起こりプロジェクトは中断、日本は財政破綻に陥った。

財政破綻に関する本はたくさん出されているが、私がこの本に注目したのは、他の類書が、ハイパーインフレ、預金封鎖、デノミ、ペイオフ、財産税など財政破綻後の国民生活の悲惨さを取り上げているのに対し、このようなことには一切触れずに、IMFが対日報告書として作成したとされる「ネバダ・レポート」を実施し、財政再建を図ろうとする、専ら政府内部における日本の財政危機に対する問題意識と政治家や世論の反応を中心に書かれていて、この問題に対するリアルさが伝わってきたからである。11月12日掲載、産経新聞書評では「現実の方こそ荒唐無稽」と本書を評価している。

アベノ「バブル」は必ず弾ける

このサブタイトルは今月の「選択」11月号に掲載された吉野直行氏(アジア開発銀行研究所長)の巻頭インタビューのタイトルである。

氏は〝「安倍バブル」の崩壊は?〟との問いに対して「可能性はある。日本銀行がマネーサプライを拡大し続ければ、バブルが起こり、それは必ず崩壊に向かう」と答えている。

吉野氏は以前にも日本の財政危機について同誌で警告していた。当時よりさらに財政破綻懸念が強まったことを訴えているのである。

暴落に賭ける人たち

日本国債は日本国内で日本人がほとんど保有しているので売られるようなことは起こらない、心配することはないという人たちがいる。

しかし、日本国債の先物市場の60%以上は外国人で、ヘッジファンドや投機家たちは虎視眈々と狙っている。

カール・バス氏は4年前の日経ヴェリタスに「日本の国債はあと18カ月」という記事を寄せている。日本国債の暴落に賭けている多数の投機家がいることを肝に銘じておく必要がある。

ちなみに、「オペレーションZ」の中にも書かれているがロシアが密かに30兆円もの日本国債を買い集めて、売り浴びせを計画している状況が描写されている。

国民はどう対処したらよいか

平成14年1月4日の日経新聞のコラム(十字路)は国・地方公共団体と特殊法人の債務合計が1000兆円を超えたときに、債務増加の原因を詮索することも大切なことだが、それよりも、国民を飛行機の乗客に例えて「墜落寸前の飛行機の乗客が、故障を詮索するのに似ている。乗客がすべきことは、少しでも生存の確立を上げることである。クッションを用意して衝撃に備える姿勢をとろう」と国民が一人一人個人で自衛すべきと訴えた。

しかし、マイナンバー・出国税・国外財産調書・海外金融口座通報制度(CRS)など国民を取り巻く環境は当時より格段に厳しくなった。

国民はどう対処したらよいか。藤巻氏は著書で「ドルを買え」と言っている。

2011年3月11日に東日本大震災が起きた。私は財政破綻も経済災害と捉えて「東日本大震災からの教訓」として次のようにまとめている。

①財政破綻(経済災害)は起こるかどうか考えるのはナンセンス。「発生することを前提に準備すべし」
②いつ発生するかを論じることもナンセンス。「今日それが起こる」ものとして準備を始めるのがよい。
③どの程度の規模になるかを考えることはある程度必要。とはいえ、「自分が対応できる範囲内で頑張る」のが現実的。
④いつ、どのくらいの規模で発生するかわからない。したがって、できるだけ、気合を入れず、楽に、今のリズムを崩さずに準備することが大切。

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当LR小川会計グループでは毎月一回資産税セミナーとして「日本の財政破綻リスクとその対策を考える」というテーマセミナーを行っています。

関心のある方は海外進出支援室までお問い合わせください。

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三


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