改正が見込まれる年次有給休暇の取得義務化

1 日本の低い有休取得率

国別の有給休暇取得率調査によれば、日本の有給取得率は50%で(2016年)世界26カ国中最下位となっています。過去には30%台の年もあったため、上昇傾向にはあるものの、週の労働時間が60時間以上の労働者の27・7%が年次有給休暇を1日も取得していません。過重労働と有給休暇取得は密接に関係していると政府はこの結果を重く捉え、2020年までには日本の有休取得率を70%以上にするという目標を掲げています。

2 労働基準法改正案

有給休暇この目標を達成するため、「労働基準法」の改正案が国会で継続審議されています。この記事の執筆中は総選挙前の為、内容が変わる可能性がありますが、現行での案をご紹介したいと思います。

そもそも、有給休暇は「労働基準法」に定められた、労働者の権利であり、有給休暇が無い会社は存在しません。

例えば新入社員の場合、有給休暇を取得するには

⃝入社してから6カ月間継続勤務
⃝決められた労働日の8割出勤している

この2つの条件を満たすことが必要です。

このとき、6カ月後に10日有給休暇が付与されますが、今回の改正案では、この付与された10日間を1年間以内に5日間、雇用主が時季を指定して取得させる義務が発生します。

つまり、今までは有給休暇の取得を労働者の意思に任せきりでしたが、今後は労働者の有休取得状況を管理し、1年間に5日間取得出来そうにない場合は、取得日を指定して取得させなければなりません。

対策としては、先ず、有給の取得促進を行い、労働者に有給休暇を取得してもらう。または、社内で全員一律の休暇を5日間設定する一斉付与や、それが難しい場合は、グループに分けての交代付与等を設定する事が必要です。ただし、導入の為には就業規則への記載や、労使協定の締結が必要になりますので、導入を検討される場合は、人事労務サービス部までご相談下さい。

【参考文献】

◦エクスペディアジャパン有給休暇の国際比較調査2016年
◦独立行政法人労働政策研究・研修機構「年次有給休暇の取得に関する調査」(平成23年)

 


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