中小企業白書を“経営”に生かす
中小企業白書は毎年、中小企業庁より刊行されます(中小企業庁HPからPDFで閲覧できます)。白書を読むと、我が国の中小企業の置かれている現状を大まかにつかみとることができます。以下、概要をご紹介します。
◇2016年版白書に見る中小企業の動向
中小企業の数は減少しつつもそのペースは緩やかなものとなっている。又、経常利益は過去最高水準に達し、景況感も改善傾向にあるが、売上高は伸び悩んでいる。これは中小企業の利益の拡大は原材料・原油価格の低下や人件費の減少によるところが大きいことを示している。
◇人手不足と設備老朽化
中小企業でも賃上げは行われているが、人手不足感が強まっている。又、設備投資も伸び悩み設備の老朽化が進んでいる。こうした現状をふまえて、経常利益が高水準にある今こそ、省力化・合理化や売上拡大を通じて稼ぐ力を高める必要がある。
◇中小企業の今後の課題
同白書の第2部では〝稼ぐ力〟に焦点をあてつつ、今後の課題として「生産性向上のためのIT活用」、「売上拡大のための海外展開」、「リスクマネジメント」を挙げている。
特に、IT投資については、高収益企業と低位収益企業の違いにふれており、高収益企業はIT投資により業務プロセスの合理化や意思決定の迅速化を行うことで生産性の向上や営業力の強化に結び付けている。
リスクマネジメントについても、大企業は、自然災害の頻発やIT導入に伴う情報セキュリティの必要性の高まりにより対策を進めている一方で、中小企業では認識不足もあり対策が遅れている。
◇稼げる中小企業の特徴
稼ぐ力のある企業には、経営者が
①ビジョンを明示
②従業員の声に耳を傾け
③人材育成
④業務プロセスの高度化、段階的・計画的な投資等を行っている
という共通点が見られた。
これらを踏まえ、今後は経営者が理念を明示し、金融機関等の外部専門家と連携しながら組織的な経営を行い、IT投資や海外投資を積極的に行い生産性向上や新陳代謝に取り組み、稼ぐ力を向上させていくことが重要である。
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白書にはその他にも全国の中小企業の成功事例が多数紹介されています。きっと自社の経営のヒントになることと思われます。ぜひ一度ご覧になることをお勧めします。
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