ふるさと住民票

ふるさと住民票

199_会長_opt恒例のお盆の帰省ラッシュが終わった8月20日、新聞報道によると構想日本が8地方自治体の賛同を得て「ふるさと住民票」創設を提案している。発端は原発事故で全村避難した福島県の飯館村が避難した住民が避難先で行政サービスを受けられるように「二重の住民票」を求めたことからだという。

住民と自治体とのかかわりは多様化しており、転勤族のように居住地を時々変える人、原発事故や、自然災害や大島の三原山の噴火で何年間もふるさとを離れた人、移転先で定住した人たちなどで元の居住地を一時的にも変えなければならない人、介護サービスを受けるために複数の地を行き来する人など様々である。

現在では二重に住民票を発行することはできないので、法改正の必要のない範囲内の行政サービスを行う取り組みを始めたいという事である。

私は
①本籍地
②幼稚園、小学校、中学校、高等学校など基礎教育を受けた地
③転勤などで一定期間を過ごした地
④二地域居住地として選択した地
⑤自分の終の棲家としたい地
などを「ふるさと納税地」としてふるさと住民票を発行できるようになれば、私が提唱する循環型社会を形成するための「ふるさと納税」制度の基幹的な制度となると考えている。

企業にもふるさと納税

「ふるさと住民票」報道の数日後に「企業版ふるさと納税創設へ」というタイトルで菅内閣官房長官が来年度税制改正を要望したとの記事が出ていた。

企業の地方への納税(ふるさと納税)については制度的には整備されているといってもよい。地方に支店や営業所があれば事業税、法人住民税として各地の地方公共団体(都道府県・市区町村)へ納税している。また、地方公共団体への寄付金は特定寄付金として全額寄付金控除の対象となっているので制度的には完備しているといってよい。

しかし、地方公共団体への寄付金であれば無条件ですべて寄付金控除となるのではない。たとえば、経営者が出身校へ寄付すると、企業との関連性を問われ経営者個人への賞与として課税される可能性がある。だから経営者の出身地への寄付は、たとえ地方公共団体への寄付であっても注意しなければならないのである。

この度検討される企業ふるさと納税では、企業の経営者の名を冠した〝冠寄付金〟特に児童、生徒、学生を対象とした奨学金やスポーツ施設など子育て環境整備や、ふるさとの自然環境などへの寄付が〝企業寄付〟と認められるようになれば企業の故郷への寄付金は一挙に拡大するであろう。

地方を美しくきれいにしよう

サケやマスは人里離れた山奥の水のきれいな源流で産卵し、孵化し、成長してやがて川を下り、大海原に出てたくましく成長し、やがて産卵するためもとの川・河に戻って生まれ育った源流にまで遡って帰ってくる。一時は河川の汚れや護岸工事のために戻れないこともあったが、最近は水質管理が行き届き、また、魚道の整備も進んで沢山の遡上が見られるようになった。

いま地方は人口が減少して消滅する市町村が次々と出てくるのではないかといわれている。しかし、私は地方の市町村は人口を競うようなことはしなくてもよいと思っている。

いつも変わらぬ豊かで美しい自然の中でゆったりと流れる時間の中でしっかりと子育てし、あるいは企業戦士として戦った体を安らかに休めることのできるように、いたずらに人口を競うのではなく、満ち足りて暮らせる美しい豊かな市町村になれるような政策を望むのである。

循環型社会へ

地方は仕事がない、働く場所がない、という指摘がなされている。資本主義的な意味での仕事や産業は少ないかもしれないが、子育てや、余生を支えること、水源を守り、魚道を作る仕事に相当する地方のインフラを整えることも経済的には現代的な生産とは言えないかもしれないが立派な仕事である。

ベトナムのボートピープルで脱出した人たちが、海外から祖国ベトナムに住む身内の人たちに送金しベトナム経済を助けたように、地方で育ち都会や海外へ出て働く人々が、その働きの中から故郷や祖国日本へ納税する仕組みを作ることができれば、地方は美しい自然を守りながら豊かに満ちたりて暮らせる地になるであろう。

「税は社会を変える」という。地方を活性化するには現在の「特産品特売付きふるさと納税」でなはく、恒久的なふるさと納税制度を作って欲しいと願っている。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三


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