税務調査の憲法問答 第三十四話
第三十四話 富裕層への課税強化は憲法違反か?
Ⓠ 富裕層と区分しての課税強化は問題はないですか。
A 所得税は累進課税制度で収入に応じて税率が高くなります。これは担税力・税金の応能負担の原則で、課税の公平を確保しています。
Ⓠ 富裕層・中間層や低所得層は差別的用語ではありませんか。階層を分けて課税の強化を図る政策は公平な課税実現を目指すとはいえないのではないですか。
A 一つの税目で課税客体を区別する政策です。課税客体を階層で分けるより、税率を一律・同じにした方が平等と言えますが、それでは低所得者の課税負担率が高いとして応能負担で税率を変え公平を図っている。
Ⓠ エンゲル係数のように収入の中に占める生計費は一人当たりの最低限の費用であり、収入にしめる生計費の割合が高いと文化的出費がしづらいと考えると、低所得層を区分して税率を下げるのは平等・公平さの確保となるのはわかりますが、その税率が低すぎるのもおかしい。
A 現在課税総所得が195万円以下は5%というのも低すぎるというのですね。
Ⓠ 累進課税制度も課税負担が公平でないとなると法の下の平等と言えず憲法違反ではありませんか。消費税のように広く公平・平等に課税し低い税率にあっては公平感が強調されてます。しかし所得税で現在所得4千万円をこえるとmax45%、10億円でも同じ税率です。
A 公平と言えないというのですね。
10億円超の年俸者は超少ないという現実もありますよ。
Ⓠ 国税庁の階層別所得税の負担率は5千万円超1億円以下が28%、そこをピークに100億円超で14%まで落ちるという。この負担率の変化は公平といえないでしょう。たしかに100億円前後の人は孫氏98億円など数人かも知れないが、疑問です。
超富裕層への課税を強化すべきでしょう。何十億円という大手社長と数千万円の中小企業の社長が同じ税率というのは公平感がないのではないか。富裕層の概念はどういうふうにお考えですか。
A 年俸5千万円前後から富裕層で、10億円前後から超富裕層かな。超富裕層はかなり幅があり税率をどうするかは見解が分かれるところですが、超のつかない富裕層への減税を望むのですね。
Ⓠ そうです。中小企業の社長を年俸1千万円にするのも大変です。そのへんを富裕層・超富裕層といい高額な税率にすることは労働意欲・公平感を損なう。かような税制は憲法の社会権の労働権や幸福追求権、経済活動の自由、平等・公平を侵害するのではありませんか。
A 私も年俸1千万円、1千2百万円前後は20%くらいでいいように思います。国は働き甲斐のある労働市場をつくる社会的立場にあります。税制は経済環境の良し悪しに直結します。
国の税制のあり方如何により憲法の各種の人権侵害が懸念されます。
(税理士法人LRパートナーズ 代表社員 滝田 司)
神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら
経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


