相続トラブル・ライフプランの中で相続を考える

第300回 財産承継研究会

「相続トラブル ~税務と法律の考え方の違い~」

弁護士 安達 信 氏

【第1】相続と相続税について

1.相続

遺言書がある場合、遺産分割協議は不要です。民法では、一定の相続人に最低限度の相続財産を得られる権利を与えています。このことを〝遺留分〟と言い、これを侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることができます。

遺言書がない場合には、遺産分割協議が必要で、協議書の作成を行うことになります。

2.相続税

相続税の改正で、平成27年1月1日から基礎控除額の引き下げ、税率構造の見直し、最高税率の引き上げが行われます。基礎控除額は、現行の控除額の6割になり、最高税率は現行の50%から55%に引き上げられるなど全体的に相続税の負担が大きくなる内容です。

相続税の計算上では、税務特有の扱いがいくつかあります。

①基礎控除の計算では、養子は、実子がいる場合は1人だけ、いない場合は2人だけしかカウントできません。(民法上では、養子の数に制限はなく、平等に法定相続分の権利があります。)

②死亡保険金や死亡退職金は、みなし相続財産として、相続財産に含まれます。(民法上では、これらは相続財産ではありません。)

③配偶者と1親等の血族以外の人が相続すると、通常の税額の20%が加算されます。④遺産分割を条件とした特例として、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の減額、農地の納税猶予などがあります。

【第2】税務が交錯するトラブル事例

〈事例〉

「XはYと共に父親の遺産を相続した。Yはすぐに遺産をリスクの高い金融商品につぎ込み大損して破産し、相続税を納めることができなくなった。」

 Xは、Yの分の相続税も納税しなくてはならないか?

 Xは納税しなければならない。(相続税の連帯納税義務)父親から財産を取得したX、Yのうち、Yが相続税の納付を行っていない場合、Xは相続で受けた利益を限度として、Yの未納の相続税を納めなければならない義務を負っています。これを〝相続税の連帯納税義務〟と言います。

これを防ぐ方法としては、遺産分割のときに、まず納税資金を確保しておき、期限内に納付してしまうことが望ましいです。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2014年1月24日(金) 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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