リスクカードへの備えはあるか?

内外波乱含みの現状

No106_1616523昨年の一月号では「納税できる喜び」と言う題で長いデフレから抜け出たほっとした明るい気持ちを表現したが、昨年の参議院選挙による自民党の敗北から流れが変わってしまった。

「ねじれ国会」によって政 策決定能力が著しく低下し、小泉政権が築いてきた改革路線から悪しき保守化へ向かっている。これに年金問題+防衛省問題に象徴される官僚の暴走とそれを統治できなかった政治への不信が重なって国民にしらけたムードが漂いはじめている。

また、一昨年イギリスから始まったサブプライム問題が投資資金の金融商品からの逃避、原油価格の暴騰を引き起こし、世界の資金の流れに変調をきたして今年の見通しを不透明にしている。

今年の景気はどうなる?

「いざなぎ景気」はアメリカの住宅バブルと同時に始まり、低所得層向けサブプライムローン問題で住宅バブルがはじけて終わる。今年は「いざなぎ景気」の終焉の年になりそうだ。

日本のGDPの成長は輸出に頼ってきた。その輸出先である中国やアメリカの景気があやしいのである。このような環境の中でサブプライム問題から投機資金の逃避が始まり原油暴騰を引き起こし、この原油高を出発点とするコストアップが追い上げてくる。昨2007年は値上げ元年となった。昨年末の報道によれば企業倒産が増え1万件を超えたと言う。

消費の動向も中心となる賃金動向における給与総額は増えたが、非正規社員の人数が増えたため、一人当たり給与は減少しており、力強さは感じられない。物価は上昇、消費は低迷、特に原油高騰は今年は生産財に波及するかもしれず、論調の中にはスタグフレーション(景気停滞)に言及するものも散見される。

今年はリスクカードが多発する気配

昨年後半から流れが変わり、また、今年もいろいろな波乱要因が見えてきている。予想される波乱要因(リスクカード)は何か。街の一税理士がとやかく言うことではないがいくつかを上げてみる。

①衆議院議員選挙の有無と帰趨
②北京オリンピック後の中国バブルの破裂
③サブプライム問題の広がり
④原油高騰はどこまで続くか
⑤アメリカ大統領選挙の行方

などが想定される。(サブプライム問題は、どこまで尾を引くか?)サブプライム問題は、限定的だと述べる人が多いが、サブプライムローンの原資産額は住宅ローンの 20 %程度だとしても、証券化の過程で多くの投資金融商品に組み込まれ、いわば、一滴の劇薬が水道に投げ込まれた状態で、致死量に至らなくても、下痢、腹痛、嘔吐を催すとわかれば誰もが近づかなくなるようなもので、その影響は、未知数としか言いようがない。だからこそ、世界五カ国の中央銀行が共同で資金供給体制をとったのであろう。

原油高騰はコストインフレの入口か?

原油の値上りは、コストインフレの引き金になるかもしれない。直接原油製品の値上げばかりではなく、石油代替燃料としてのバイオ燃料の普及を加速させ、既に家畜飼料や穀物や木材を原料とする製品などの値上りが始まっている。

北京オリンピックで中国バブルははじける?

オリンピックを合言葉に国内を整備してきた中国は、オリンピックが終わると目標を失い、エアポケットに入った状態になる。すでに中国のバブル化が言われて久しい。中国へ行くたび高層マンション群を沢山見かけるが、日本のマンションのように明かりが見えず夜になると真っ黒な塊となって覆いかぶさってくる ように感じるのは私だけであろうか。

多発するリスクにどう対応する?

今年は以上述べたような内外多様な要因が入り混じり乱気流の中に突入し、場合によっては瞬間的にはエアポケットに落ち込むかもしれない。リスクカードを引いたとき(波乱要因に遭遇した時)の心構えはできているだろうか。 リスクは常に存在するもので、リスクに当たらないのは、単に幸運に過ぎない。

また、リスクは人の明暗を分ける。ある人にとってはリスクであっても別の人にとってはプレミアムになることもある。リスクは避けることも、確実に予測することもできないので、リスクに遭遇した時にはどう冷静に対処するかにかかっている。

◆リスクカードとは

リスクカードとは、私たちが行っているマネジメント・ゲームの中で使っているカードで、自分の意思とは関係なく起り得る事象をゲームの中に入れている。

消費者運動が発生し製品が売れないとか、火災が発生し在庫が焼失してしまうとか、掲示したカードのように「景気変動逆周り」でビジネスチャンスを逸し、一周遅れでスタートしなければならないとかゲームの中でリスク対応を体験させられている。

リスクは避けることも、確実に予測することもできない。リスクに遭遇した時にどう冷静に対処するかである。リスクは常に存在するもので、リスクに当たらないのは、単に幸運に過ぎないと体験的に感じる。

No106_1617826

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ


 

リスクカードへの備えはあるか?” に対して1件のコメントがあります。

コメントは受け付けていません。