2006年税制改正後物納の現状と対応策

第215回 財産承継研究会レポート

税制改正後物納の現状と対策赤字法人に借地権を移転相続税の特典

【第一部】ビデオ研修
●2006年税制改正後物納の現状と対応策

FP総合研究所 代表社員 税理士 山本和義氏

平成18年4月1日以後に相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税についての物納制度が改正されました。これは、物納の許可基準が不明確、手続きに長期間を要するなどの指摘を踏まえた改正と言われています。概要は以下のとおりです。

①抵当権が設定されている不動産、境界が不明確な土地等を物納不適格財産(管理又は処分をするのに不適切な財産)として明確化する。

②市街化調整区域内の土地、無道路地等を物納劣後財産(他に物納適格財産がない場合に限り物納を認める財産)として明確化する。

③物納に必要な書類として登記事項証明書、測量図、境界確認書を物納申請時に提出する。その資料の提出を一定の期間内に提出しなかった場合は物納申請を取り下げたとみなす。ただし、「物納手続関係書類提出延長届出書」を提出することにより納期限から1年まで延長することができる。

④税務署長は物納申請の許可又は却下を物納申請期限から3ヶ月以内に行う。ただし、物納財産の調査に相当の期間を要すると見込まれる場合は6ヶ月以内(積雪などの特別な事情によるものは9ヶ月以内)とすることができる。

⑤物納申請した者は物納申請の全部又は一部が却下された場合には20日以内に延納の申請を行うことができる。

⑥相続税を延納中の者が延納による納付が困難になった場合には、申告期限から10年以内に限り、物納を選択することができる。

⑦物納により納付が完了するまでの間(税務署長による物納の審査事務期間を除きます。)利子税がかかる。不動産による物納が回避できないと予想される場合には、生前のうちから物納予定不動産の測量などの準備が必要です。

物納を活用した事例としては貸宅地の物納があります。これには『更地』でなければ物納ができないと考えられている人が少なからずいます。一般的な物納適格要件に該当すれば貸宅地でも物納は可能です。

【第二部】【第三部】

㈱LR小川会計

●赤字法人に借地権を移転

赤字法人がオーナーの所有地に建物を建築し、借地権の認定課税が行われた場合、借地権相当額は法人の利益となるものの、それに見合う赤字があれば通算され、税負担は生じないことになります。

結果として、オーナーの所有地の借地権相当額が無償で赤字法人に移転したことになります。ただし、法人は留保金課税がかかる場合がありますし、地主と会社の株主との間で株の評価額の上昇による贈与の問題が生じる場合もありますので注意が必要になります。

借地権の認定課税とは、土地を借りるにあたって『権利金を支払わない』『借地権相当地代も支払わない』、また、契約終了後に更地にしますという『無償返還の届出書も提出しない』場合、借地人は借地権を無償でもらったとして課税を受けることをいいます。

一方、地主側は借地権を売ったも同然なので譲渡と扱われるように思われますが、現行の取扱いでは借地権の設定行為であり資産の移転ではないので譲渡には該当しないことになります。

●相続税の特典

配偶者の特典・未成年者控除小規模宅地等の減額特例

配偶者の特典

配偶者が相続した財産については配偶者の法定相続分と1億6千万のうちいずれか大きい方の金額まで税金がかかりません。

二次相続を考慮しなければ配偶者に多くの財産を相続させることによって税金を軽減することができます。

◆相続税の非課税財産

相続税の非課税財産には相続人が取得した一定の生命保険金額等及び相続人が取得した一定の退職手当金等などがあります。

◆未成年者控除

未成年者が相続した場合には20歳になるまでの年数に6万円を乗じた金額が控除されます。

◆小規模宅地等の減額特例

一定の事業用財産や居住用財産については通常の評価額から50%あるいは80%が減額されます。

 

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