MG経営事例(2006):「MGは人間を良くする」
MG経営事例:㈱上澤梅太郎商店「MGは人間を良くする」
人を良くするMG
私が初めてMGに出会ったのは1991年、34歳のときのことでした。西研究所が主催するMGに参加をしてみると、それはその目指すところ、目指していく過程ともに共鳴のできるもので、「なるほどこれは続けるべきだ」と、すぐに理解しました。
MGをする人には様々な目的があるでしょう。
私は会社の利益をより上げることよりも「人を良くする」効果に期待してMGを続けています。
MGを経験した多くの経営者は、これをぜひ自社に導入したいと考えるでしょう。
しかし私が経営する味噌、醤油、漬物を製造する会社は当時、職人が営々と築き上げた保守的な、変化を嫌う文化に支配されていました。
そしてここにMGを浸透させるまでには、実に十余年の歳月を要したのです。
MGという「言語」の通じる会社になぜしたかったか、なぜこれを会社に定着させるべく地道な努力を続けてきたのか。それは、MGによって人は確かに変わるということを、私自身が経験したからです。
「MGは成績ではなく期数だ」とは、MGの中では繰り返し聞く言葉です。MGは通常、盤上で2日間で5期の経営を行います。私はMGを決して得意とする者ではありませんが、しかし12回目60期を超えたところで、確かに自分が変わったという実感を得ました。具体的に言えばそれは周囲に対して穏やかになった、そして胸のつかえが取れて楽になった、そういうことです。
MGとマイツール
MGが物事の考え方を鍛える研修とすれば、その考え方を実際の経営に生かすための道具が「マイツール(以降、MTと表記)」というコンピュータです。
MGに出れば当然このMTを強烈に薦められます。私も大いに興味をそそられましたが、実はその数年前、製造のボトルネック解消のために導入した設備投資に失敗をしていました。二度も同じことは繰り返せません。
そのため92年、先ず西研究所の「MT初級教室」に出てみました。
そしてこのことは、MGへの初参加と共に、私への大きなラッキーカードとなりました。たった2日の研修で「コンピュータというものの仕事への生かし方」の真髄を知りました。
後は自分の日常をMTに反映させていくのみです。コンピュータは私の得意な分野だったようです。
否、MTはコンピュータを不得意とする人にも楽に使える画期的な道具だったのです。これを契機にMTはその後、大きな利益を会社へもたらすに至りました。しかしMTを使えるのが会社の中に私ひとり、という
状況は良くありません。
MGと同じくMTも、社員みなが取り組んでこそ大きな力となるのです。
いちど点けたMGの火
製造現場にMGやMTを入れ、経営を考えることのできる社員を育てたい、全員で経営をしていきたいという一念は、しかし前述のような保守的な文化との衝突もあり、しばしば停滞、また遠回りなどを余儀なくされました。
しかし、志のある社員には辛抱強く働きかけ、衝突が利益にならないとみればこれを回避し、機会あるごとに社員、また就職内定中の学生までをも次々とMGに参加させつつ年月は過ぎていきました。全社員を巻き込んでのMGを実現したいという強い思いが自分の支えでした。
そしてそれは遂に、世紀の変わった2001年1月に現実のものとなりました。MGを初めて経験した製造の社員が漏らした「これはホントに良い勉強です。ウチの会社に欠けていたのはこれです」との言葉には心の底から驚き、また感動しました。
打てば響く感受性を持つ社員は会社の財産です。思えば長い道のりでした。しかし我々は永遠の未完成品です。いちど点けた「日光MG」の火は絶対に消しません。
S・T・R・A・C(Strategy Accounting)
経営者と社員がMGという共通言語を以て意思の疎通を密にしていくと、人は心も体も楽に動かせるようになってきます。
一説によれば”Company”という言葉の源は「人が集まり来て(come)みながパン(pan)を食べる」ところにあるそうです。そしてそれは別として、私は社員と一緒に食事をすることが好きです。
今年の6月、会社ちかくの豚カツ屋で社員たちと食事をしたとき、ある計算資料を配りました。同じ中身における、しかし包装形態の異なる2種の商品について、その粗利総額がどれほど異なるかの比較を、MGで用いられる”S・T・R・A・C”で表したものです。
当社の販売動向では、要冷蔵のフクロ入り商品は、内容が新鮮で風味も良いことから高い価格でも数量は伸び、また包装コストも低く抑えられるなど、こと利益に関しては良いことづくめです。
ところが製造現場としては、ビン詰めの方が工程が簡単で、しかも加熱殺菌を経て保存性も高いところから、むしろこちらの方を多く作ってきました。
“S・T・R・A・C”では、フクロ入りの粗利総額が、ビン詰めのそれを圧倒していることが一目瞭然でした。これを、その日の夕食会に出席したすべての社員が見たわけです。
MGを経験してきた社員たちは、もちろんその数字の意味するところをただちに理解しました。そして「いや袋入りって、すごいんですね」と感嘆しました。
一度利益の仕組みを飲み込んだ製造の人たちは、今後は「手間のかからない方を作りたい」とは、間違っても考えないでしょう。そして営業の社員も相和して、お客様により喜ばれ、しかもより利益の上がる商品の販売を心がけるでしょう。
これは、社員と共にMGを続けてきたことが、現場に科学的なものの考え方を育てたほんの一例です。そしてこの例の表面のみを見る限り、社員たちは学習によって新たな知識を身につけたに過ぎないかのように思われますが、しかし実際には本人も気づかないうちに、それぞれが大きく変わったのです。
継続は最大の力
昨年、わずか50日の闘病の末に父が逝去し、唐突に会社を引き継ぐことになりましたが、決算は上向きでした。自分の代になって利益を落とすことはしたくありません。
信じたことは辛抱強く継続し、良いと思ったことは実行していくことが、会社にとっても個人にとっても大切です。いまだ道なかばではありますが、これまでの私の歩みが皆さまのお役に立てば幸いです。(講演要約ここまで)
(株)上澤梅太郎商店WEBサイト
http://www.tamarizuke.co.jp
次回MG研修予告
平成18年10月5日~6日
先着36名様限定 参加者募集中
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