景気の行方

政治は経済を動かす

政治は経済を動かす。1986年のプラザ合意以後、政策のミスリードの積み重ねが現在の深刻なデフレを招いていることは多くの論者が認めているところである。2003年は3月25日株価はバブル後の最安値をつけ8、000円を割った。これは竹中大臣が不良債権処理を急加速させることを懸念したためである。

その後、5月17日りそな銀行への公的資金の投入にあたり株主責任を問わなかったことから株価は8月19日10、000円を回復し、一時11,000円を付けた後年末まで一万円を前後している。2003年の景気は政治における政策決定に大きく左右されたといえる。

今年の政治日程と景気の行方

日本の景気はアメリカの景気に密接にリンクしているといわれる。そのアメリカではブッシュ大統領の再選選挙が11月2日にある。湾岸戦争には大勝したが経済政策の失敗で再選を果たせなかったシニア・ブッシュ氏の二の舞を避けるため、なりふりかまわぬ景気対策を実施している。

日本では7月に行われる参議院議員選挙を目指し、小泉政権は過半数割れを解消すべくなんとしても景気を維持すべく努力している。しかし、こうした背景の中にもかかわらずいくつかの政策に疑問がある。

足利銀行の破綻処理

りそな銀行に続き11月28日足利銀行が破綻した。りそな銀行の公的資金投入の時と違って株主責任を問うこととされた。すなわち株券がゼロになってしまったのである。2005年4月に予定されているペイオフ完全解禁の前に地銀、信用金庫など地域金融機関の整理統合が予定されているなか地域経済や景気に与える影響は不透明である。

年金改革と税制改革

すでに厚生年金保険料が法人税の税収を上回っているが、年金問題では低金利や少子・高齢化で破綻したといわれる年金財政の再建のために厚生年金保険料の引き上げ、年金給付額の削減などが論議されている。

一方、基礎年金の二分の一国庫負担をめぐりその財源確保の観点から政府税調は①配偶者特別控除の廃止、②老年者控除の完全廃止、③年金控除の縮小など個人をターゲットにした増税路線を打ち出している。

橋本政権の二の舞?

経済はデフレの進行中であり、トレンドは右肩下がりのなかの循環景気である。地価も基準地価調査によれば東京都心の一部に下げ止まりが見られるもののなお下落が続いている。

今年の経済の行方は日本とアメリカの政権の政治にあわせて作られた景気の要素が強い。作られた景気はすぐ落ち込んでいく。7月に予定されている新円発行もその効果や意図にさまざまな憶測が流れている。

前半は政治相場の演出をするが、後半は不良債権処理や構造改革、財政再建路線が表面化し、2005年4月のペイオフと絡んで橋本政権の二の舞を演じ最悪の事態を招く事のないように望むものである。

(小川 湧三)


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