常識を疑う①

自分にとって常識と思っていたことが、ある時「あれ、これって常識じゃなかったの」と思ったことはありませんか。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖
私は高校まで関西で育ち、親戚も関西在住が多かったので、上京してそういった経験をよく覚えています。10代までの常識は、「お雑煮は白味噌の丸餅」、「お盆に御詠歌」、「エスカレーターは右に立つ」、「灯油のポリタンクは青色」、「たぬきといえば油揚げがのったそば」でした。
大人になって、お年取りにはブリを食べ、送り盆に「かんば」をたく信州、お墓に「きりこ」をたてる金沢、宴会で下におけない「可杯」で注ぎあう土佐等を目の当たりに経験し、狭い日本国内でもそれぞれ地域の常識といえる風習が非常に多いことに気付かされました。これが海外となると、その国独自の生活様式やマナー、行動様式があり、海外旅行に行くときには事前の勉強が必要なほど知らない常識に溢れています。
アインシュタインによると「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」とありますが、まさに私達が子供の頃教えられたことや覚えたことが常識であり、それはある意味狭い地域でしか通用しない風習や行動様式だったのです。
昔は、今ほど情報網や交通網が発展せず、人々の生活もそれぞれの地域で完結することが多く、地域の風習や習わしを常識として捉えていて何ら問題はなかったと思われますが、今ではそうはいきません。毎日「どうしてこんなことになるの」と理解できないことが多く報道され、外国人旅行者の行動に眉をひそめることもあると思います。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖
グローバル化が進み、様々な常識や考え方を持つ者と接することがそれこそ常識となっていますが、「郷に入れば郷に従え」の諺のように、自分たちと異なる考え方を一方的に排除することは、批判や誤解ばかり生じ、相互理解や新たな価値の創出には繋がらないでしょう。自分の常識はさておき、異なった考えや行動様式を冷静に見極め、良い習慣や考えと判断したものは積極的に取り入れる姿勢が大事ではないかと自分に言い聞かせている日々この頃です。
税理士法人LRパートナーズ
川崎事務所 所長 山下 功起
“常識を疑う①” に対して2件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。