心通い合う贈与

今年から、生前贈与のあり方が大幅に見直しされます。暦年贈与では、相続加算の期間が3年から段階的に7年に延長され、また、相続時精算課税では毎年110万円の非課税枠が新設されました。

ある情報誌におじいちゃんからお孫さんたちへ心の通い合う贈与が掲載されていましたので参考までに紹介させていただきます。

ある地方に80代のおじいちゃんがいます。毎年、孫、ひ孫の合計10数人に50万円~100万円ずつ贈与されているそうです。

そのやり方がとてもユニークで、贈与するお孫さんたち全員の通帳をおじいちゃんの自宅に送らせ、自分の口座から現金を引き出し、そのお孫さんたちの通帳に入金します。

そして、おじいちゃんはひとりひとりの顔を浮かべながら手紙を添えてお孫さんたちの自宅にその通帳を送るそうです。

お孫さんたちは、その通帳を受けとると、おじいちゃんに「今年もまた送ってくれてありがとう」と必ず感謝の電話や手紙を書くそうです。

贈与契約書を作成して、お孫さんたちの通帳に入金するのもいいのですが、贈与契約書を10数枚作成してやり取りするのに手間と時間がかかります。送金したお金の入金を確認してもらうのに、こちら(おじいちゃん)から電話するのも面倒です。それよりも通帳を預かって入金して送り返すと、必ず電話や手紙が送られてくるそうで…。つまり、おじいちゃんは、直接お孫さんたちと会話し感謝してほしいわけです。それに相続人ではないので相続対策も兼ねているわけなんですね。

生前贈与の基本は、「あげます」「もらいます」というお互いの意思が必要なことはもちろんのこと、長くコツコツやり続けることが節税への近道とも言われています。

おじいちゃんとお孫さんたちの「あげるよ」「ありがとう」という会話を通じて、お互いを思いやる気持ちを育み、有難みのわかる人間に育てば、贈与の効果はそれなりに大きいものがあるかもしれませんね。

今回は、ちょっと気になる贈与を紹介させていただきましたが、贈与を通じて「お孫さんたちの笑顔に触れ、感謝されたいやり方」もまんざら悪くなさそうですね。

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 所長 小関 和夫

 



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