インボイス制度の概要
第399回ロングリレーションズ倶楽部
インボイス制度の概要〜インボイス制度導⼊後に、不動産賃貸経営で注意すべきこと〜
講師:
税理士法人LRパートナーズ 社員税理士 佐藤 清
Ⅰ 消費税の基本的な仕組み
課税事業者が納税する消費税額は、自社の売上税額から仕入れなどにかかった消費税額を差し引いた分を納税します。この仕組みを仕入税額控除といいます。
Ⅱ インボイス制度の概要

売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものになります。
売手である課税事業者は、買手である取引相手(課税業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません。買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付されたインボイスの保存が必要となります。
Ⅲ 不動産賃貸経営で注意すべきこと
① 物件競争力が低下する(テナントの移転)
課税事業者であるテナント(借主)は、インボイスを発行しない(免税事業者)オーナーとの取引は、税負担が増加するため物件を乗り換えるケースが想定されます。
②収益性が落ちる(賃料の減額)
免税事業者の場合、課税事業者であるテナント(借主)からの価格交渉による取引価格引き下げが想定されます。
Ⅳ インボイス制度支援措置
① 2割特例
売上税額の2割を納税額とすることができます。
② 少額特例
1万円未満の取引はインボイスの保存が不要になります。
③ 少額な返還インボイス交付義務免除
1万円未満の値引き、返品は返還インボイスの交付が免除されます。
④ 登録制度の見直し
これから登録される免税事業者は、登録希望日に登録することが可能です。
Ⅴ 独占禁止法において問題となる行為
免税事業者に対して仕入れ税額控除できないことを理由に取引価格の引下げを要請し、再交渉において、双方納得の上で取引価格を設定すれば、独占禁止法上問題にはなりませんが、買手側の都合のみで著しく低い価格を設定した場合には、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題となります。

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