兼務役員の雇用保険手続き

会社の役員は原則として雇用保険に加入することはできませんが、その役員が労働者として働いている場合は雇用保険に加入することができます。この労働者のことを兼務役員と言います。

◆兼務役員の労働性を判断する基準

雇用保険の加入条件は、学生以外で1週間20時間以上、勤務開始時から31日以上働く見込みがあることです。更に以下の3つの条件を満たす役員は、労働者性があると判断され兼務役員として雇用保険加入の対象となります。

① 労働者分の賃金が役員報酬より多いこと
② 代表権と業務執行権を持っていないこと
③ 就業規則が適用されていること

◆兼務役員雇用実態証明書の書き方

会社は「兼務役員雇用実態証明書」という書類を作成して、雇用保険資格取得届とあわせてハローワークに提出します。該当する兼務役員が、役員でもあり労働者でもあることを届出る書類です。

「役員名称」取締役など役員としての名称を記入します。「現職名称」部長など従業員としての名称を記入します。その他に「役員としての担当業務内容、従業員としての労務内容」「役員報酬・従業員賃金」等を記入します。

◆兼務役員雇用実態証明書の添付書類

兼務役員雇用実態証明書の他に下記の書類も一緒に添付する必要があります。

・法人登記簿謄本
・賃金台帳、役員就任後2カ月分の出勤簿
・議事録

◆兼務役員が雇用保険に加入する際の注意点

兼務役員が雇用保険に加入後は、手続きや運用面でいくつか注意点があります。

出勤簿やタイムカードで労働時間の管理を行うこと。

被保険者と認定された後は雇用保険料が発生しますので、労働者として支払われた賃金部分から、雇用保険料を控除します。

労働保険の年度更新の計算対象や離職票に記載する賃金も、役員報酬は含めず労働者としての賃金を記載します。

そのため労働者分賃金と役員報酬は、明細項目を分けておく必要があります。

該当する役員がいる場合には、上記の内容を参考に、役員になっても、雇用保険に加入するメリットを活用してみてください。

 



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