第59回 チャットGPTについての包括的なレビュー②

情報セキュリティ連載

試される人工知能「チャットGPT」の実力

第59回 チャットGPTについての包括的なレビュー②

前回に続き今回もChatGPTについてです。
ChatGPTの社会的な反応は大きく多方面で大きな話題となっています。

1 ChatGPTの偽物アプリの急増

まず初めに、ChatGPTの公式スマートフォンアプリは現在1つもありません。(※)2023年3月13日執筆時点

iPhoneのApp Store、AndroidのGooglePlay上でアプリ検索をすると数多くの「ChatGPT」というアプリがヒットします。App Storeでは6件ほどGooglePlay上では20近い「ChatGPT」に似たアプリが存在します。

偽物のアプリの中には所在を確認するため、クレジットカードの情報入力を求めてくるものもあり、詐欺等の温床になりかねない状況です。

スマホからの利用の場合、ホーム画面にChatGPTのショートカットを作成し、そこからの利用をすることをお勧めします。

2 教育環境への影響

本題のChatGPTの利用についてですが、米国の教育現場では、ChatGPTが「思考力を奪う」「学習意欲に悪影響を与える」として懸念を示しているようです。

懸念している点として挙げられるのは物事に関して「批判的に考える力」が育ちにくくなるという点のようです。

ChatGPTは、回答が決まっているものや要約については指示通りに回答するため、物事への論理だった思考プロセスが自らできないのではないかという懸念です。

感想文や、考え等を書く論文的なものが代表例です。物事を論理建てて考える思考プロセスを奪ってしまうのではないかという懸念です。

一方、ChatGPTを肯定的に捉えている教育者の意見としては、まずは教師が授業で使用する教材のアイデア出しに利用するなど、ChatGPTを答えに利用するのではなくアイデアの提案に利用するなどの活用をすることを挙げています。

確かに、ChatGPTは質問の投げ方で、回答も大きく変わってきます。

先程例に挙げた感想文を書くことや概要を述べてというような回答を求めれば正解、不正解を問わず正確な文面で回答を返してきます。

これに対して、物事に対してどんな例題がいいかや、いい面や悪い面というように条件を提示する形式で利用し、仕事や勉強などの補助するものとして利用すれば、人間の着眼点で見落とされてた部分の補充に繋がります。

3 企業はルールを作成運用する方向へ

次にChatGPTの企業の使用状況ですが、教育機関ほど否定的な反応はなく、ルールを定めて活用しようという動きができているようです。

企業が使用を推進するのは、コードなしでデータ収集やプログラムコードの生成、修正を行ってくれたり、ユーザーのチャット対応の補助など業務効率が上がり生産性が上がることを把握しているためです。

企業が業務効率を上げることから利用を推進する一方、ルールを定める方向に動くのは、ChatGPT上に入力した会社や業務にかかわる情報が、ChatGPT側のデータベースに集積され、その情報を元にChatGPTが当該企業とは全く関係ないユーザーの質問の回答の一部に利用されるような事故が起こる可能性が残ってしまうためです。

そのため、パナソニックホールディングス傘下のパナソニックコネクトは、ChatGPT共同開発元の米マイクロソフト社と「社内で利用するChatGPTへ入力した情報はChatGPTの学習データに利用しない契約」を結び積極的にChatGPTの活用をしているようです。

企業として利用する場合は、パナソニックコネクトのような契約を結ぶか、そこまでの規模でなければ、ユーザーや業務上漏らしてはいけないデータをChatGPT上に入力しない等のルールを定め運用していく方法が考えられます。

1度利用してみれば威力の凄さに驚かされるChatGPT。使い方によっては業務の手助けになるだけでなく、新たなアイデアの助けにもなるものです。
投げかける質問内容に注意を払いつつChatGPTの利用方法を探ってみてはいかがでしょうか。

【参考文献】

『チャットGPT、米学校に波紋「思考力奪う」「デジタル教育の一環」』
 2023年3月7日付 日本経済新聞

『対話AIの業務利用制限 ソフトバンクや富士通、情報流出懸念活用へルール作り急ぐ』
 2023年3月12日付 日本経済新聞

OpenAI URL:https://chat.openai.com/

 

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