相続税の取得費加算
1 制度の概要

この制度は、相続により取得した土地、建物及び株式などを相続開始から3年10カ月以内に譲渡した場合に、納付した相続税のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。
譲渡所得の計算は、譲渡収入から取得費と譲渡費用を控除した金額になりますが、この取得費に加算ができるため、通常の譲渡よりも譲渡所得が軽減されることになります。
2 取得費に加算する相続税額
〈算式〉
譲渡した人の相続税額×譲渡した財産の相続税評価額/譲渡した人の相続により取得した財産=取得費に加算する相続税額
つまりは、相続により取得した財産のうち、譲渡した土地に対応する相続税相当額を算出していることになります。
3 具体的計算例
相続により取得した財産5億円
上記の財産のうち土地の価額4億円
譲渡した土地の相続税評価額1億円
譲渡した人の相続税1億円
取得費加算する金額は
1億円×1億円/5億円=2千万円
この取得費加算の計算は、平成26年12月以前の相続発生の場合には、売却していない土地も含めて相続したすべての土地に対応する相続税相当額が対象となっていました。
上記の具体的な計算例に当てはめると8千万円が取得費加算の対象となり、現行の計算との差額が6千万円になるので、以前ほどのインパクトはないと、言えるのかもしれません。
取得費加算の適用は、相続開始から3年10カ月以内に譲渡することが肝要となります。
ところで、土地を譲渡した日とは、いつを指すのでしょうか?
原則としては土地を引渡した日となりますが、契約締結日を譲渡した日としても良いという規定になっています。
したがって、契約締結日が相続開始から3年10カ月以内であればこの取得費加算の適用が可能となります。

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