会長

相続相談会から

表題は川崎商工会議所の会議室に掲げられている渋沢栄一氏が昭和2年8月に書いた書である。今年1月に相続セミナーと相続相談会を開いた時にふとこの言葉を思い出したので取り上げさせていただいた。

相続でよく問題が起きるのは法定相続分である。相談会でもこの問題が出てきた。民法では相続に当たり遺産分割の基準として法定相続分を定めている。しかし、遺言や遺産分割協議では必ずしも法定相続分どおりではなくてもよいのである。遺産分割協議は相続人間の自由な意思でまとまればよく、遺産分割協議で決まればそれに従うことになっている。また遺言では法定相続分どおりでなくても遺言者の意思が最大限尊重される。

したがって、特段の異議の有無にかかわらず、そのまま執行することができる。ただ、相続人が想定した相続財産が相続できなかった場合には、遺留分を侵害していると侵害された相続人が遺留分の減殺請求権により不足分を請求することができる仕組みになっている。

遺留分は法定相続分の二分の一と定められているため、このようなことから法定相続分が相続に当たって強く意識されるようになってきているのである。

親の望みは兄弟姉妹「仲良く」

長い間相続のお付き合いをさせていただいているが、相続になる前からのお付き合いがほとんどなので、相続される方の気持ちも沢山聞く機会があったし、今もある。

相続のことについてお伺いすると、全員が全員云われることは「兄弟姉妹仲良く」である。

親から見れば子はどんな子も可愛い。働き盛りの忙しい時に生まれ、十分遊んであげられなかった子、生活が落ち着いて時間の余裕があるときに生まれた子、あるいは障碍を持って生まれてきた子、すくすくと健康に恵まれて育った子、子はさまざまである。

不幸にして人生の途中で道を踏み誤ってしまった子であっても、親は自分自身を深く静かに責めていて立ち直りを願っているものである。

また、子が成長して親と同居して家業を継ぐ者、老後の介護をする者、終末期を一緒に過ごす者、身近に過ごすもの、離れて暮らすものさまざまである。

最近は相続人である兄弟姉妹は年齢差はあまり見られなくなったが、昭和の時代では兄弟の年齢差は一回り12歳以上違うことは珍しくなかった。このような場合は利害が衝突することも少なく比較的円満に相続が進むが、最近は兄弟姉妹の年齢差が少ないために利害が衝突することが多くなってきている。しかし、親の願いはどなたに聞いても「兄弟姉妹仲良くしてほしい」、である。

高齢者の相続対策

人生100年といわれる時代になって相続の様相も変わってきており、亡くなられる方が90歳、100歳ということも珍しくなくなってきた。

このような場合の相続人は既に定年を過ぎてリタイア人生に入っている人たちが多い。本来ならば、自分自身の相続を考えなければならない年齢である。

この相談会ばかりではないが、高齢者の方から「相続税が大変だから贈与をしたい」といわれる方がある。先祖代々引き継いできた財産ならいざ知らず、自分一代で築いた財産ならば、特に現役を引退して年金生活や現役をリタイアされた方ならば、それこそ「人生100年時代」これからの人生は、今まで築いてきた財産で100歳を超える人生を生きていかなければならないのだから、「大切に自分で守っていってください。相続税は相続する人が払う税金です。あなたが心配することではありません」と言っている。

遺言や家族信託で孫やひ孫へ相続させる方がよほど賢明かもしれないと思うのである。

不平等即平等

法律で法定相続分や遺留分を一律に定めても現実は様々な様相を見せているのである。相続は親の人生の襞と子の人生の襞とが微妙に絡まり合って織りなしているものであるから法定相続分や遺留分のように割り切る事ができないのである。渋沢栄一氏は別の思いがあって書かれたものであろうが、「不平等即平等」は相続に携わる者にとって常に座右に置いておくべきものと思っている。

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三

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