高齢者の金融資産会長

高齢者の金融資産を巡ってはいまさまざまな議論を呼んでいる。

①相続人が首都圏に居るために相続があると相続人が地方の金融機関から都市部の金融機関へ預貯金が引き出されてしまい地方経済に影響を及ぼしている。

②認知症の高齢者が所有する金融資産が引き出せない、あるいは、放置されたままになってしまう。

また、

③消費をしない高齢者に預貯金が集中していて消費が伸びない、子供や孫への贈与の特例を作って子や孫の消費を伸ばそう、などなど高齢者にお金をつかわせよう、高齢者からお金をシフトさせようと必死になっている観がある。

人生100年時代

私は昭和30年に上京してきて現在に至っているが、今の高齢者の大半は昭和30〜50年時代高度成長期を必死で生きてきた人たちである。

人生100年時代といわれているが、高齢者の人たちはようやく不老長寿とまではいかなくても長らく人類が望んでいた夢の時代の入り口に立ったのだと実感している。

この人生100年時代に入ったいま、このようにして築いてきた高齢者が金融資産を沢山持っているといわれることは長寿社会にとっては理想の社会状態を作り出していると感じている。

この高齢者の金融資産を活かして使うことを考えるのが金融資産を預かっている金融機関や政策立案者である政府の役割である。

ロバート・キヨサト氏の教え

ロバート・キヨサト氏はその著書「金持ち父さん・貧乏父さん」の中で、一生懸命に働いて資産が生み出す収益(不動産収入や利子、配当など)で生活できるまで蓄えなさい、と教えている。

2018年3月16日の日本経済新聞に『金融資産・老後の資金準備不十分?60代4割総額「分からない」』という記事があったが、老後に必要な総額を求めても求められるはずがない。
要は毎月どれだけの支出があるか、年金で賄えるかどうか、不足分はいくらか、不足分が100万円とすると利息の利率が5%であれば2千万円の預貯金の保有が必要という事であって、現在の物価や利率で必要額を推計するしかない。

ゼロ金利の現在ではいくら金融資産を持っていても溢れ出てくるものが無ければ切り売りするように、取り崩して使うという選択肢しか残されていない。

企業倒産でよく見かけるように倒産するまでの生活と、倒産後の物影に身をひそめるような生活を沢山見聞きしている。

孤独死した高齢者が数千万円の預貯金を持っていたという話があるが、戦前の影響を受けている高齢者の人たちは資産や所有物を切り売りして生活する「竹の子生活」のみじめさを知っているからである。

家賃が入ってこない賃貸不動産は不良資産と云われる。これと同じように利息を生まない預貯金は不良資産と云われても仕方がない。このような不良資産にしたのはどこかで政策が間違っていると考えるのは当然である。

国民の資産形成口座を

私たち高齢者世代に対して、平成時代のデフレ期に成人してきた若年者たちの現役世代の金融資産はどの統計を見ても少なくなっていて、世代間格差として取り上げられているが、この世代の人たちに将来やってくる高齢者になったときの蓄えのために貯蓄へ向かわせるには大胆な政策が必要である。

高齢者の金融資産を若年者へスライドさせるような政策ではなく高齢者の積み上げてきた金融資産を循環させるような政策を望むものである。

イギリスでは「揺り籠から墓場まで」といわれる高福祉政策をとっていたがイギリス病といわれる経済停滞を起こし社会が停滞してしまった。そこでサッチャー政権が国有産業の民営化を含む大改革を行った。

その一環で社会保障関係についても大改革があり、政府の社会保障政策から自助型の社会に転換しその一環として国民の金融資産形成に役立つ商品を提供したと仄聞している。
10月11日の日本経済新聞に政府税制調調査会が「老後資産税制で支援」することを検討することを提言するという記事が掲載された。

政府が用意している国民の資産形成口座はNISA、iDeCoなど始まったばかりで、制度としても複雑で利用しづらい制度である。

イギリスのサッチャー政権が行ったような大胆で多様な国民の資産形成口座や金融商品の創造を考えて欲しいものである。

 

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三

 


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