小さな異変会長

この原稿は毎月月初に書いている。当事務所で行っている7月申告法人の決算を見ていたら、数社が売上半減というものがあった。

胸騒ぎがしたので、ある経営者の集まりでこのことを話題にしたところ、その中の一人の方から、自社の取引先の範囲での情報だが「昨年の9月ごろから製造業に異変が起きている。今までは業界のトップグループは比較的安定していたが、9月ごろからトップグループの中で1位のトップは安定しているが2、3位については取引は急減し異変が起きているのではないか」というような趣旨であった。

酒の席での話であるし、真偽のほどは分からない。ただ、私の脳裏で引っかかっている小さな異変現象の一つである。

日銀の小さな政策変更

折も折、8月9日の産経新聞に先月末に行われた日銀の政策決定会議の議事録の公表が報道されていて「金利上昇、日銀内に懸念・亀裂浮き彫り、政策混乱も」というタイトルである。

日本銀行の出口戦略が問われているいま、日銀の政策や行動のどんな小さな変化も日本国内ばかりでなく世界は即時反応してくる。

アメリカのFRBやヨーロッパのECBなどは市場との対話を重視し絶えず向こう1年近くの政策の方向を市場へ発信し市場の反応を見ながら慎重に政策を進めていく運営を行っている。

しかし、日本銀行は多くの識者から出口議論を公開するように求められているが「出口議論はまだすべき時期ではない」と出口議論を封印している。

その結果市場では日本銀行の小さな変化を読み取りながら、「ステルス・テーパリング」「ステルス利上げ」などと、憶測に憶測を呼ぶ状況を作りだしているのである。

システム障害

小さな異変というと思い出されるのは5年前の2013年5月に視た相棒シリーズ「X-DAY」の物語の始まりは金融機関のシステム障害であった。

このドラマを見てから何気なく新聞を見ていたとき、2015・5・21「東日本信金システム障害」の小さな記事を見つけた。その後注意して新聞を見ていると、「住信SBIネット銀行」「ゆうちょ銀行システム障害」「横浜銀行など4行」、5月と9月2年続けてシステム障害の、ベタ記事が掲載されていた。2年にわたり規則正しくシステム障害が起きている状況は偶然の一致とは思えないのである。

さらにその後も、クレジットカード、マックの電子マネー、NICOSカードなどの障害が報道されている。小さな異変の一つと捉えて、注意深くフォローしている。

オペレーションZ

昨年11月に発表された真山仁氏の「オペレーションZ」という日本の財政破綻を取り上げた著書では、小さな生命保険会社の取り付け騒ぎが話の発端である。

最近の新聞で気になる記事の一つは「金融機関の業務改善命令」である。ゼロ金利政策移行後とくに金融機関の運営が厳しくなっている。金融庁の金融監督政策の大転換のあとは、スルガ銀行のように収益確保に走るあまり〝勇み足〟では済まない傷を負う銀行も出てきた。

7月末の日銀の「長期金利の上昇容認」の決定と、これからの金利上昇圧力の影響がどう出てくるか、私は今、新聞の片隅に出てくる小さなべた記事、銀行の「業務改善命令」「金融機関の合併・統合」等の小さな記事に注意を払っている。

国債市場の小さな異変

国際市場にも小さな異変が起きている。日本の国債の所有者は日本国民が90%近くあり、日本国民が率先して国債を売ることはないから、国の借金である国債がどんなに沢山あっても心配することはない、という人たちがいる。

しかし、1月4日の日本経済新聞によれば「短期国債外国人が買い支え、保有率6割に迫る」とある。

また、6月21日の日本経済新聞によれば「10年債値付かず、もう5回」、7月3日「国債市場、空洞化深まる」などと報じられていて、国債市場にも小さな異変が起きていると思われるのである。

世界に目を向けると、独裁政権、独裁的政権が各国に誕生しつつあり自由主義経済への異変が生じつつある。日本の国内も安倍三選を巡って波乱要因が散見する。「鷹の目、虫の目、魚の目」という金言があるが、私は虫の目で小さな異変を見続けていくつもりである。

 

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三

 


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